6月16日開業の上海ディズニーランド(写真: Imaginechina/アフロ)
6月16日、中国・上海の郊外に中国本土では初となる上海ディズニーランドが正式開業する。5月7日からの試験営業期間中は、園内の食事の値段が高いことや来園客のマナーの悪さが話題となった。
期待と不安が入り混じる船出となる中、地元の上海の人たちは実際のところ上海ディズニーにどんな印象を持っているのだろうか。開演当初は大混雑が予想される上、先述の通りメディアで様々な問題点も指摘されている。裕福な人も多い地元の上海人たちは、急いで行きたいとは思っていないのではないかと考えた。
「チケットの価格は関係ない」
話を聞けた人数は限られるので、これが全体の意見を代表するわけではないものの、筆者が想像していた以上に上海ディズニーに「行きたい」という人が多かった。
間もなく出産するという30代の女性は「子供は絶対に好きだと思う。ぜひ行きたい」と話す。20代の男子大学生も「友達と一緒に行きたい」と前向きだ。
上海ディズニーのチケット価格は、平日が370元(約6000円)。休日など混雑が予想される日は499元(約8000円)。6月30日までのオープン直後も499元になるという。
東京ディズニーランドの1デーパスポートが7400円なので、おおよそ遜色のない価格だが、月5000元(約8万2000円)程度の賃金で働いている人も多い中国では高額と見ることもできる。ただ「多くの人にとって出せない金額ではなく、チケットの価格が行くか行かないかの決め手になることはないのではないか」(30代の女性)
従業員の家族など関係者向けの試験営業期間中に、既に訪れたという人もいた。関係者は5枚まで通常よりも安い300元(約5000円)で試験営業チケットを買うことができ、夫婦と子供1人で使っても余ってしまうため、友人などに譲る人も多かったようだ。
既に訪れた人の評価は、これまた限られた数ではあるが、いずれも好評だった。「楽しかったのでまた行きたい」(20代女性)、「また必ず行く」(40代男性)。子供を持つ30代男性は言う。「サービスは香港ディズニーランドよりも劣るが、全体的には香港よりも楽しめた」。
「言われているほど食事もまずくない」
ホットドッグが60元(約1000円)、小籠包が1個6元(100円)など、試験営業中は園内の食事の高さも話題になった。年々物価が上がる上海でも、大衆的な食堂であれば、小籠包は5個10元ほどで食べられる。それと比べると確かに高い。だが、前出の30代男性は「食事も言われているほどまずくはなく、1日遊んで1人200元(約3300円)ほどの食費で済んだ」と不満はなさそうだった。
このように既に訪れた人の話を耳にして、行ってみたくなったという人もいるようだ。20代の女性は「行った人がおもしろいと言っていたので私も行ってみたい。ただ夏は暑いので秋以降にすると思う」と語る。
一方で、行くつもりはないという人ももちろんいた。「混んでいることは間違いないので行きたくない」(50代男性)。30代の女性は「東京ディズニーシーも行ったけどそれほど興味は持てなかったので、上海ディズニーに行くつもりはない」と話す。別の30代の女性はまた別の意見で、「どうせ行くなら東京ディズニーリゾートに行く」と話した。
ディズニーのテーマパークはデザインされた美しさや楽しさが強みだろう。そのディズニーの強みが、融通無碍とも言える中国の社会にうまく噛み合うかが不安視されている部分なのかもしれない。「世界の工場」から娯楽・サービスなど第3次産業への転換を図る中国にとっても、上海ディズニーランドの成否が産業転換の1つのバロメーターになるかもしれない。
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