破竹の勢いで販売を伸ばす新興スマートフォンメーカーとしては地味にも思える事務所の扉には「顧客志向」などの言葉とともに「本分」の2文字があった。

2016年の出荷台数は2015年の2倍超に

 中国のスマホ市場でトップに立った「OPPO」(広東欧珀移動通信)のオフィスで見た光景だ。米調査会社のIDCが発表した2016年の中国におけるスマホ出荷台数で、OPPOは米アップルや韓国サムスン電子、中国の華為技術(ファーウェイ)や小米(シャオミ)などをおさえ首位になった。同社は2016年、中国で2015年の2.2倍に当たる7840万台のスマホを出荷した。世界全体での出荷台数も2015年の4270万台から9940万台へと2倍以上に増やし、世界4位の座を維持した。また、調査会社カウンターポイントによると、中国での機種別の販売台数でもOPPOの「R9」がトップだった。

オフィスの扉には「本分」の文字が
オフィスの扉には「本分」の文字が

 OPPOはもともとDVDプレーヤーなどを製造する広東歩歩高電子工業(BBK)が立ち上げたブランドだ。その後、同社のAV部門を率いていた陳明永氏がスピンアウトする形で2004年に会社を設立した。当初は音楽プレーヤーなどを販売しており、2008年に携帯電話の事業に参入した。

 その後、歩歩高もスマホの製造・販売を手がけるようになった。それが、OPPOとともに販売を大きく伸ばしている世界5位の「vivo」だ。いわば兄弟のようなブランドが、競い合いながら販売を伸ばしている。過去の経緯から、OPPOがvivoとともにBBKグループの一員と表現されることもあるが、OPPO側は「経営上のつながりはない」としている。

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