1つはライドシェア(相乗り)型のサービスに対する中国政府の規制強化だ。北京市や上海市では、地元の戸籍を持つ人にドライバーを限定する内容の規制を導入した。滴滴が、新たな規制に適合するドライバーは3%に満たないと表明したように、ライドシェアの車両は大きく減っていると見られる。

ウーバー買収で滴滴の独占市場に

 もう1つは滴滴がライバルだった米ウーバー・テクノロジーズの中国事業を買収したことだろう。中国の配車サービス市場で90%超のシェアを持つ滴滴がウーバーを手に入れたことで、ドライバーにボーナスを渡し、消費者には割引券を配るような激しい市場競争はなくなった。

 一般のタクシーの運転手にとっては、ライドシェアのドライバーに顧客を奪われる機会は相対的に減った。そのため、消費者がタクシーを呼んでもすぐには受けず、チップが追加された段階で受けているようだ。筆者もホテルの入り口で滴滴を使ってタクシーを呼んだ際、チップなしでは全く反応がなかったにもかかわらず、チップを上乗せしたところすぐに応答があり、わずか30秒ほどで車が到着したことがある。まるでチップを待っていたかのような反応だった。

 滴滴は問題を受けて、2月から上海でチップ機能を取りやめると報じられている。ただ、春節期間を終え、チップ機能がなくなっても、タクシーをつかまえづらい状況が改善されるかは分からない。通常より高い料金を持ちかける「白タク」行為が増えるかもしれない。

  配車サービスに関しては、滴滴が、ライバルだった「快的打車」と2015年に合併。さらにウーバー中国も買収して、赤字覚悟の価格競争に終止符を打った。だが、独占企業となって新たな問題が起きている。新たな産業をいかに健全に育成し、産業の構造転換を図るかも中国が抱える大きな課題の1つだろう。

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