北京市民にとってはひどい交通渋滞も悩みの1つ(写真=Imaginechina/アフロ)
北京市民にとってはひどい交通渋滞も悩みの1つ(写真=Imaginechina/アフロ)

 中国・北京に15年ほど住んでいる日本人の山本武史さん(仮名)は最近、自動車を購入した。買ったのはトヨタ自動車と中国の広州汽車集団の合弁、広汽トヨタのレビンで、価格は13万元ほどだった。

 「1万元の値引きや付属品のサービスもあったし、クルマ自体には満足している」と山本さんは言う。購入したレビンは、中国政府が景気対策として導入している小型車減税の対象車で、山本さんも減税の恩恵に浴した。ただし、問題もある。「北京のナンバープレートを取るのは難しく、山西省か内モンゴル自治区のナンバーになってしまいそうだ」とこぼす。

 中国のナンバープレートは先頭に省や特別市、自治区を示す漢字1文字が入る。北京市なら「京」、河北省なら「冀」、山西省なら「晋」、内モンゴル自治区なら「蒙」といった具合で、どこの省で登録されている車両かすぐ分かる。

当選確率わずか0.1277%

 なぜ北京から離れた山西省や内モンゴル自治区のナンバーになってしまうのか。中国の大都市、特に北方の都市は大気汚染が深刻だ。北京では2017年の元日も「危険」レベルを上回る汚染が発生し、街は灰色のスモッグに覆われた。北京市民は慢性的な交通渋滞にも悩まされている。ラッシュアワーともなれば、北京の主要な道路である三環路などは自動車で埋まり、ほとんど動いていないような状態になる。

 大気汚染や交通渋滞の悪化を防ぐため、北京市をはじめとする中国の大都市は自動車のナンバープレートの発行を絞りこんでいる。北京市は2011年から抽選で新規のナンバーを発給している。2016年12月に行われた抽選では、個人用の普通乗用車ナンバーの当選確率は783分の1、わずか0.1277%で、引き当てるのはかなり難しい。申請回数が多いほど、当選確率が上がる仕組みを採用しているが、中には5年間、はずれ続けている人もいるという。

 ちなみに上海市はオークション制度でナンバーを発給している。1月14日に行われた今年最初のオークションでは、約23万人が参加し、平均落札価格は8万7685元(約145万円)だった。ナンバーを取得するために、小型車一台分に匹敵する金額が必要になる計算だ。

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