脱炭素、乗り越えられるか

 CO2の分離回収は脱炭素化の最終手段だ。政府は2050年にCO2を現状より8割削減するという、より高い目標も打ち出した。これに対応しようとすれば、石炭であれ、天然ガスであれCO2を出す火力発電は成り立たなくなる。

 そこでJパワーが準備しているのがCO2を地中に埋めるCCS(CO2の回収・貯留)技術だ。北海道の苫小牧市で実証実験している日本CCS調査にJパワーも一部出資。広島県の実証プラントでは2019年にもCO2の分離回収実験を始める。最終的には酸素吹きIGCCで回収した高純度のCO2を、苫小牧まで運んで埋める計画だ。

 CCSの実現可能性や採算性については厳しい見方もある。それでも脱炭素化に対応できなければ、石炭火力への風当たりはますます厳しくなる。

 Jパワーがこうした難題に直面するのは初めてではない。磯子火力発電所の建設計画が持ち上がった1960年代のこと。当時は公害問題が深刻化しており、大都市近隣での火力発電所の建設には懸念の声が多かった。同社は大気汚染物質の排出量を大幅に抑える技術を導入し、日本で初めて公害防止協定を横浜市と締結。以前よりも高い環境規制を順守することを約束した。後に、この協定は全国で石炭火力発電所を建設する際の標準になったという。

 脱炭素化も持ち前の技術力で突破することができれば、石炭火力に頼らざるを得ない多くの国から、Jパワーへのラブコールは増えるはずだ。石炭を磨き続けてきた同社の底力が、改めて試されている。

(日経ビジネス2016年10月10日号より転載)

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