ベンチャー企業を専門とするオフィス移転の支援サービスを手掛ける。大企業とは異なるユニークで多様な要望に応えることで、ベンチャーの成長を支える。

(日経ビジネス2017年9月18日号より転載)

独創的なオフィスを実現
●社食サービス企業、おかんのオフィス。沢木社長(左)とヒトカラメディアの担当者(右)が従業員を巻き込み作り上げた
(写真=稲垣 純也)

 東京都渋谷区のJR代々木駅近くの雑居ビルに入居する、あるベンチャー企業向けのオフィスはユニークだ。入り口には靴を脱ぐための「たたき」がある。オフィスの真ん中の会議室には古い建具が引き戸として使われ、奥には琉球畳の上にちゃぶ台を置いた団欒スペースも設置されている。

 昨年2月、こんなユニークなオフィスに引っ越してきたのが、社食サービスのおかん(東京・渋谷)だ。顧客企業のオフィスに小型冷蔵庫を置き、100~200円でパック詰めの肉じゃがや鯖の塩焼きなどのお総菜、ご飯、野菜ジュースを提供するサービスを展開する。

かゆいところに手が届く工夫

 おかんのオフィスの特徴は、ユニークなデザインだけではない。「我々が働きやすいように、かゆいところに手が届くさまざまな工夫がなされている」。おかんの沢木恵太社長はこう語る。

 応接用のベンチやテーブルはキャスター付きで、室内を仕切るパーテーションも可動式。従業員の増加や、新商品の発表イベント、オフィス内での懇親などの際に、社員の手で機動的に間取りを変更できる。成長期のベンチャーに適した使い勝手を実現している。

 このようなオフィスの仲介、デザイン、内装工事、特注家具の設計・製造までを一気通貫で手掛けるのがヒトカラメディア(東京・渋谷)だ。その特徴は、顧客企業の従業員の顔と名前を覚えるくらい相手に密着する姿勢だ。

 移転決定後、ヒトカラの担当者は、おかんの全従業員を集めワークショップを開催。「働く人のライフスタイルを豊かにする」というおかんの企業理念に沿ったオフィスのイメージを募った。集まった意見は、従業員同士が濃密につながる「ファミリーワーク」、社外の人が訪れてホッとする「おかえり!」という2つのコンセプトに集約した。