日本で目立っているのがセブン&アイ・ホールディングスだ。7月、オフィス用品通販大手アスクルとの業務提携を発表。同社の物流網とネット通販のノウハウを活用し、生鮮食品の新たなネット通販を始める方針を掲げる。

 ネットの巨人、米アマゾン・ドット・コムも4月、日本法人が首都圏の一部で生鮮品の宅配「アマゾンフレッシュ」を開始している。米国では8月末、137億ドル(約1.5兆円)を投じて米高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収。同社の特徴である有機野菜をはじめとする高品質の商品を武器に食品市場に殴りこみをかける。

 セブン&アイやアマゾン以外にも、本格参入を狙う企業は数多い。スーパー、コンビニエンスストア、ネット通販……。業種も事業モデルも違う企業がこぞってこの領域に群がるのは、食品があらゆる消費者に関わる分野でありながら、これまでネット購入が定着してこなかったからだ。

 経済産業省によると、日本における食品のEC(ネット通販)化率は16年に2%と、家電の29%、書籍や映像・音楽ソフトの24%を下回る。スマートフォンの普及でネットが消費者の日常の奥深くまで入り込むなか、「食品×ネット」の成長余地は大きい。

 定期購入の使い勝手でオイシックスがいくら先行しているといっても、アマゾンのような巨大企業が膨大な資金力と開発力を仕向けさえすれば、先進的なシステムを作り上げるのは難しくない。

 では、オイシックスは後発の追い上げをどうかわすのか。その答えとなり得るのが、調達先のネットワークだ。

契約農家、統合で倍増

 「価格交渉できるので、収益が安定して投資計画が立てやすい。ハウスの増設にも踏み切りやすくなった」

 千葉県多古町で小松菜やほうれん草、水菜を栽培する有限会社ファーム・グリーンハウス篠崎。代表の篠崎弘一氏(56)はオイシックスとの関係について、そう話す。従来、収穫した作物は農協に卸していた。だが農協の値付けは収穫量に左右される。天候不順で価格は乱高下し「同じニンジンでも1箱7000~8000円のときもあれば、同1000円を下回ることもある」(篠崎氏)。

両社の長所・短所を補い合う
●オイシックスと大地を守る会の概要(17年3月期)
オイシックス 大地を守る会
2000年 設立 1977年
230億円 売上高 129億円
228人 社員 175人
1200人 契約農家 1500人
13.7万人 定期会員 4.6万人
商品開発力、利便性 強みは? 生産者とのネットワーク
ネット 主要販路は? カタログ
30代中心 主要顧客は? 40~60代
ヤマト運輸 配送は? 主に自社配送

 「このままでは先が見えている」。そう考えた篠崎氏がオイシックスと取引を始めたのは03年ごろ。もともと自身の生産する小松菜は苦味が少なく、生で食べてもおいしいという自負があった。オイシックスで発売するとすぐ評判となり、「篠崎さんの小松菜」としてブランド化。購入者のレビュー投稿が相次ぎ、その言葉を励みに増産投資を繰り返した。現在のハウス数は20年前の4倍を超える約120棟。かつて数千万円だった年間の出荷額は、現在では3倍程度まで増えたという。