クルマの位置測定に欠かせない高精度地図を作る「自動運転銘柄」として注目を集める。全国の高速道路で計測車両を走らせ、2020年までに自動運転用の地図完成を目指す。地図の老舗に降って湧いたチャンス。地図の売り切りモデルを転換できるか。

ゼンリンが全国の高速道路の高精度地図を作るために走らせる計測車両。レーダールーフに搭載されたレーザーで計測した情報をベースに、3次元の地図を作る(写真=竹井 俊晴)

 さいたま市大宮区のゼンリン大宮事業所。5月下旬、1階の駐車場に大掛かりな装備をまとった1台のクルマが停車していた。

 ルーフ前方には3台のレーザーレーダーと360度撮影可能なカメラが1台。後方にはレーダー1台と、米グーグルの自動運転車にも採用されている米ベロダイン・ライダー製の360度光センサーを搭載している。車内のルームミラー付近にはソニー製のデジタルビデオカメラが設置され、後部座席にはサーバーが積まれている。

地図は自動運転に欠かせない
●センサーと地図の連携で生まれるメリット

 センサー類のカバーを外して準備を終えると、調査員2人が乗車したクルマはゆっくりと発進。首都高速道路埼玉大宮線に入ると、調査員がGPS(全地球測位システム)のデータを確認しながら走行車線を進む。センサーが検知した情報が、次々にサーバーにためられていく。

 国内地図最大手のゼンリンは、こうした「レーザー計測車両」を数台保有しており、全国の高速道路をくまなく回っている。

 目的は、自動運転時代に欠かせない「新種の地図」を作るため。道路表面や路肩、防音壁、道路標識…。高速道路上や周辺に存在するあらゆる物体とクルマとの距離を誤差数cmの精度で計測し、そのデータを立体地図に追加することで地図の質を高めていく。

自動運転に必要な高精度

 5月に開かれた伊勢志摩サミットでは、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの3社がそれぞれの自動運転車両を披露した。多くの自動車メーカーが2020年までに自動運転車の市場投入を目指す。政府による無人運転の規制緩和の議論も進んでいる。いよいよ自動運転の実用化が始まろうとしている。

 ただし、クルマに設置されたセンサーだけでは、自動運転のメリットを最大限に生かせない。センサーと地図を組み合わせることで、高度な付加価値が生まれる。