INTERVIEW
杉山 博孝社長に聞く
巨額投資、十分に利益は出る
(写真=清水 真帆呂)

──390mのビルプロジェクト、狙いは何でしょう。

 「世界各地には、それぞれアイコンとなるような建物がある。だから東京のど真ん中に象徴的な施設を作りたいと考えた。ただ日本一の高さに特段こだわったわけではない。地区内にもともとある変電所などの施設スペースを用意しつつ、残った敷地で十分容積を確保できる高いビルを建てようとさんざん考えた結果、390mの計画となった」

 「(1兆円規模と)投資額は大きいが、採算は見込めている。賃料が今後上昇しないと想定しても、十分利益が出る計算となっている」

──2020年に向けて東京でビル開業が相次ぎます。警戒はありますか。

 「2018年が新規ビル開業のピークと言われていたが、若干後ズレする見通しだ。来年、再来年と需給環境はバランスの取れた良好な状況が続くと見ている。その後は、五輪開催に向けて経済が活況となり、ビル供給を吸収するだけの需要が生まれると予想する。供給過多になるというような心配はあまりしていない」

 「より良いビルを建て、他の地域より高い賃料を取れるようにするといったデベロッパー間での切磋琢磨は大切。だがそれ以上に、競争の結果として魅力的な街が東京に多く誕生することが業界的には必要なことと考えている」

──アジアの都市間競争も激化しています。

 「シンガポールや香港は税率を低く設定し、外資系企業の誘致に成功してきた。日本も法人実効税率がようやく30%を下回る水準となり、外資系企業にとって税制が拠点を設ける際のネックではなくなってきた」

 「4月に開業した大手町フィナンシャルシティ グランキューブでは、IT(情報技術)ベンチャーなど海外企業のビジネスを支援するオフィススペースを用意した。近隣には英語で診療可能なクリニックがあり、来年にはサービスアパートメントができる計画だ。生活環境を含めた誘致活動を進めていく」

──丸の内を今後どのような街にしていく構想ですか。

 「世界中の都市で、これだけ安全・清潔で主要企業が集積している地域は他には無い。国際化や多様化を進め、地域内でイノベーションが起こる街にしていきたい」

 「有楽町など周辺地域では再開発が進んでいない部分が多く残っており、再開発計画全体の3分の1が終わった程度にすぎない。これからはビルの建て替えだけでなく、施設内の改修による価値向上にも取り組む。まずは(築58年となる)大手町ビルで試してみたいと考えている」

(日経ビジネス2016年6月13日号より転載)