改革3 顧客接点

「天才のカン」から「生声」へ

 「この汚れを、ちょっとスポンジでこすっていただいてもいいですか?」。6月上旬、福岡市内の商業施設にある「ジャパネットレクリエーションラボ(ジャパレクラボ)」では、女性社員が笑顔で親子連れに声をかけていた。目の前には汚れがびっしりとこびりついたガスコンロ。スポンジでこすっただけでは全く取れる気配がない。

 そこで、女性社員が取り出したのが、独ケルヒャー製のスチームクリーナー。約100度の高温スチームで簡単に油汚れやシミを取り除けるのが特徴だ。実際に試してみた福岡市の会社員、榊原茜さん(28歳)は、「テレビ通販では演出じゃないかと思っていたけど、本当に奇麗に汚れが落ちるなんて……」と驚きの声を上げた。

 ジャパレクラボは、ジャパネットで扱う商品を直接体験できる実店舗として、旭人氏の肝煎りで昨年9月にオープンした。主力商品を中心に常時30商品程度を並べ、来店客は使い方を教わったり試用したりできる。商品を購入することも可能だが、ジャパレクラボ運営課の豊村和矢チーフは「商品に触れてもらい、効果を実感したり興味を持ったりしてもらうことが重要」と語る。

 天性の商才と感性で消費者の心をつかんできた明氏が去った今、ジャパネットの課題は、どのように顧客に寄り添うかだ。旭人氏が注力するのが、愚直に消費者の生の声を吸い上げ、データとして活用する仕組みづくりである。

 その意味で、ジャパレクラボは単なる「ショールーム」にはとどまらない。テレビ通販では榊原さんのように来店客が体験する様子を映像に収め、番組の中で放送。5月のカタログでは、来店客1000人から集めた感想や意見を実際の写真と組み合わせて特集した。明氏の言葉の代わりに、顧客の声が商品の魅力を伝える仕組みともいえる。

 もう一つ、この仕組みを裏方として支えるのが、ジャパネットサービスパートナーズ(東京都江東区)だ。購入後の問い合わせやクレームを受け付ける同社は、1日2000件以上に上る電話応対だけでなく、製品自体の修理も担う。修理の専従班だけでなく、電話応対スタッフの4分の1は技術を習得し、修理業務も「掛け持ち」する。

 この仕組みを導入したのも、旭人氏が社長になってから。狙いは顧客満足度の向上と、商品に対する顧客の不満などをメーカーに伝えることだ。メーカーに修理を依頼せず自社で手掛けることで、修理期間を短縮し、修理代は定額制にした。そして、顧客の意見や修理依頼などのデータは分析し、修理業務の過程で得た知見も加えてメーカー側に品質改善を求めている。主力品の一つである東芝の掃除機ではこの手法で機能の改良に結びついた。