改革2 商品政策

ロングテールの誘惑を断つ

 販路と並んで重要な商品政策でも、従来のモデルを修正する動きが目立つ。そもそもジャパネットの勝ちパターンは、明氏の目利き力で発掘した目玉商品を大量に売り抜く「少品種大量販売」だった。旭人氏は、その少品種大量販売という強みは維持しつつ、そこで売る商品の発掘の仕方を変えた。

 旭人氏は、バイヤー会議に自ら参加し、商品の掘り起こしと絞り込みに多大な時間と労力を割く。現場と一緒になって商品を発掘するトップの姿は、明氏の時代には見られなかった光景だ。

 明氏はジャパネットで最強のセールスマンであり、バイヤーだった。最も商品に対する情熱を持ち、的確に商品の長所を捉えてお茶の間に売り込める。旭人氏は今、そうした役割を約20人のバイヤーに求めている。

 こうした新たな体制によって発掘されたヒット商品が、羽毛布団だ。明氏が、家電を軸にヒット商品を発掘してきたのとは、対照的である。それは、非家電分野が次の成長の原動力になることを期待する旭人氏の方針とも合致する商品だった。実に、前年比で3割増のペースで売り上げを伸ばしている。

 羽毛布団を担当するのは2年半前に転職してきた阿部千鶴シニアバイヤー。同業他社で15年にわたって寝具・インテリアのバイヤーを経験してきたベテランだ。その阿部氏も「ジャパネットの商品の絞り込みと磨き込みは、他社を圧倒している」と話す。

 その強みが、カリスマから現場へと徐々に引き継がれ始めている。羽毛布団では、阿部氏ら現場のバイヤーがメーカーと一緒になって、原料の羽毛にこだわり、加工の工夫を繰り返した。テレビ通販のMCとも、気持ちよさをどう伝えるべきかの議論を重ねた。

 カリスマに頼らないヒット商品の発掘手段としては、現場力以外のツールも見いだした。それが、ネット通販だ。これまでもメディアミックスの中でネット通販は手掛けていたが、その位置付けが定まっていなかった。商品点数は約8000品目で、アマゾンには遠く及ばない。

 アマゾンのようなネット専業大手は、膨大な数の商品点数を抱えることで、いわゆる「ロングテール」と呼ばれる掘り出し物に出合える機会を作り出し顧客をつかむ。しかし、ジャパネットのネット通販は、ロングテールも実現できなければ、本来の強みである少品種大量販売でもない、中途半端な状態が生まれていた。

 それを昨秋、旭人氏の号令で約600品目へ一気に削減。同時に、全商品に使い方などを教えるオリジナル動画を付けるなどして、顧客が商品を選ぶ際に役立つ情報を充実させた。

 旭人氏は、ネット通販での売れ行きが重点販売商品を決定するプロセスに活用できることを見いだした。ネットで売れ行きが好調な商品をカタログに掲載。さらに売り上げが伸びれば、テレビやラジオでも取り上げる。

 ネット通販を、取り上げる商品に限りがあるテレビ通販の補完的な位置付けにするのではなく、ヒット商品発掘のためのツールとしたことで、「戦略的・組織的に目玉商品を少品種大量販売できる体制が整いつつある」(ネット通販を統括する茨木智設執行役員)。