だが、圧倒的な顧客誘導力を持つ明氏がテレビから姿を消した今、カタログ自体の魅力を高めなければ最大販路の強みを失いかねない。旭人氏は社長就任前から、「顧客属性や異なるニーズに応じた細かい施策が打てていない」と、顧客ロスのリスクに気づいていた。

 そこで旭人氏は、カタログ事業の担当者らと膝詰めで議論し、商品選びや掲載内容のPDCA(計画・実行・評価・改善)を積み重ねていった。「自分たちの意見を聞かれ、なぜその商品を選ぶのか、どのように紹介するのかを突き詰めて考えさせられる機会が圧倒的に増えた」と永渓氏は言う。

 例えばDMであれば、かつてエコポイントでテレビを購入した顧客向けに、買い替えのタイミングを狙って最新の4Kテレビを案内。しかも、過去の購買データを踏まえて、関心を持ちそうな商品を提案する。カタログでは、商品の機能や使い方を写真付きで分かりやすく解説し、購入者の生の意見も紹介。年4回の発行に加え、状況に応じて追加で提供する。よりきめ細かく顧客に寄り添う姿勢を鮮明にした。

 旭人氏は、こうした現場視点のPDCAが実行される体制を作ることで、明氏のカリスマ性を軸に回っていたメディアミックスによる販売を、カリスマがいなくても機能するようにしたい考えだ。実際、紙媒体だけではなく、他の販路でも、細部の改善が徹底され始めている。例えばネット通販では、テレビ通販でその日に紹介した製品を目玉商品として掲載し、注文の電話番号も掲載。一方、テレビ通販では、番組中にネット限定の日替わりセールを告知する。メディアミックスをする上で、当たり前にも思える販路間の相互連携が、カリスマが去ったからこそ、これまで以上に密になり始めている。

販路を組み合わせ、役割に応じて活用する
●ジャパネットたかたの販路別特徴

1.テレビ通販

ジャパネットの代名詞。生放送などでMCが商品の魅力や使い方を分かりやすく紹介(写真=諸石 信)

2.ラジオ通販

創業直後に始めた「祖業」。シニア層を中心に現在も根強いファンが多い
実店舗
実際に使ったり説明を受けたりすることで、商品の効果を実感。コンテンツ制作にも活用(写真=菅 敏一)

3.紙媒体通販

商品の絞り込みや動画掲載で専業大手と差別化。積極的にテレビ通販などとの連動も(写真=スタジオキャスパー)

4.ネット通販

丁寧な商品解説で、注文の受け皿としても機能。実はジャパネットでは最大の販路