だが、同社の業績は現在のところ、順調に推移している。ジャパネットHDの16年12月期の連結売上高は前の期比14%増の1783億円で過去最高を更新し、経常利益も同13%増の161億円。今期はさらに増収増益を見込んでいる。

 旭人氏は、明氏というカリスマが去った後、なぜ成長を持続させることができたのか。それは、創業者が作ったジャパネットの強みを再発見し、それを現場視点で新たな仕組みへと作り変えたからだ。それは明氏の感性とリーダーシップに支えられたトップダウン経営との決別で、具体的には4つの領域にメスを入れた。販路、商品政策、顧客接点、そしてブランドだ。

創業者のカリスマ性で存在感を高めてきた
●ジャパネットホールディングスの歴史
テレビ特需後の逆境を乗り越え、再び成長軌道に
●ジャパネットホールディングスの業績推移

改革1 販路

強さの源泉は「紙」にあった

 「会員様限定!!」「会員様特価!!」──。ページをめくるとカラフルな文字と写真で、ダイソンの掃除機やカシオ計算機の電波時計、ミズノのシューズなど様々な商品写真が並ぶ。ジャパネットが会員向けに年間計3400万部を発行している通販カタログだ。

 テレビ通販のイメージが強いジャパネットだが、売上高の約4割を占めている最大の販路は、実はカタログなどの紙媒体である。テレビ通販とネット通販がそれぞれ2割強、ラジオ通販は約1割だ。

 同社がカタログを展開し始めたのは、ラジオ、テレビに次ぐ1995年。それ以来、カタログを軸に、ハガキなどのDM(ダイレクトメール)、新聞広告や折り込みチラシを組み合わせた紙媒体の総合力を生かした販売が、同社の成長を支える重要な柱となってきた。

 だが、その紙媒体の潜在力が、テレビで発信される明氏のカリスマ性の陰に隠れ、十分に発揮されていなかった。ペーパーメディア企画制作部の永渓幸子ゼネラルマネジャーは、「以前は、各担当者が、掲載する商品やレイアウトなどについても細かく明社長の判断を仰いでいた」と話す。その結果、担当者が異なるカテゴリーごとに構成はバラバラで、全体の統一感に乏しかった。

 明氏の感性でユニークな商品を発掘し、テレビ通販でヒット商品に育てても、カタログの完成度を高める努力は二の次になりがちだった。それでも、紙媒体が売上高の約4割を占める最大販路だったのは、テレビで明氏のトークに購買意欲をかきたてられた消費者が、念のため商品を確認し、注文する受け皿としては機能してきたからである。