INTERVIEW
髙松富也社長に聞く
30年後を見据えてゼロからの発想を

 清涼飲料業界はメーカーが多く、過当競争を繰り広げて収益性が悪化している状況が続いている。コカ・コーラのボトラーの統合などはそうした環境に対応したもので、遅かれ早かれ訪れるとは考えていた。今後も再編は加速していくだろう。

 自動販売機の台数は業界全体で完全に頭打ちとなり、1台当たりの売り上げも減少傾向にある。消費者が自販機からコンビニエンスストアやスーパーに流れているのが一番の課題だ。安定した売り上げの見込める立地の取り合いは一層激化し、かつてのような「ドル箱」とは言えない。

 では、我々はどうか。2010年ごろに強く意識していたのが、「今のやり方では破綻する」ということだった。身売りをするつもりはないが、既存のビジネスを粛々と続けているだけでは、いずれ集約化の波にのみ込まれる。ただ、ダイドーには約40年にわたって積み重ねてきた自販機ビジネスのノウハウがある。それを磨き込まずして生き残ることはできない。

 ここ5年はコスト構造を改革してきた。重要ではあるもののあくまでそれは一時しのぎでしかない。今取り組んでいるのは、よりビジネスの競争力を高めるための自販機や商品の高付加価値化だ。

 若手中心にアイデアを募るプロジェクトでは、自販機に足が生えて顧客の所まで歩いて行き、商品を薦めるという発想まであった。実現可能なことから着手しているのが今の段階だが、30年後を見据えてゼロから自由に考えてほしいと社員には伝えている。今年2月に売り出した「ダイドーブレンド うまみブレンド」も、食い込めていない若年層の取り込みのため、若手の創意工夫を商品化につなげた。

 ロシアでは自販機を現在500台展開しているが、自販機自体は実はどこの国でも引き合いはある。日本の規模まで育つかは不透明だが、ビジネスモデルが成功すれば、それを横展開していくことは十分に可能。都心部で集中的・効率的に自販機を運用できれば商機はある。東南アジアや中東でもいずれ挑戦していきたい。

 我々が海外でコカ・コーラのようなプレーヤーになることは難しい。だが、自販機やコーヒーの分野でユニークネスを磨き、独自の存在感を発揮することはできる。その独自性を他社に先駆けて、いかに早く確立できるかが勝負だ。いつまでも同じ土俵のなかだけで戦うつもりはない。(談)

(日経ビジネス2016年7月4日号より転載)