米企業と契約、次は台所へ

 「こんな柄があるんですね」──。今年3月に披露した新商材を見た建築業界の関係者は一様に感心した。その商材とは、今春、アステックが輸入・販売を始めた人工のクオーツストーンの天板だ。透明度の高いカナダ産の石英を加工した人工の石で、大理石のように滑らかな手触りが特徴。白や黒に加え、紫、青、金、銀などさまざまな色の素材を使ったデザインは、天然にはない高級感や面白さがある。

創業者の内山繁社長は自社の浴槽を使うまでは「風呂が嫌いだった」と語る(写真=竹井 俊晴)

 このクオーツストーンを生産するのは米国で急成長する米カンブリア(ミネソタ州)。アステックのミラノ駐在員が見つけ、日本での総代理店契約を結んだ。「浴槽以外のビジネスにも進出したい」と考えていた内山社長は、サンプルを見て「これはいける」とピンときた。

 アステックの浴槽を利用する顧客は富裕層が多く、台所などの水回りにも高級感を求める。だが、台所や大きなダイニングテーブルに使えるような一枚板で、かつ柄も美しい大理石の調達は至難の業。しかも大理石は汚れやすく色が飛んでしまう欠点もある。

 その点、石英からできたクオーツストーンは含水率が0.02%と低く、例えばワインをこぼしても吸収しないため汚れにくい。一枚板で台所やテーブルを作れるためつなぎ目がなく、見た目が美しく掃除も簡単。台所の建材として世界的に普及しつつあるが、「日本には無地で特徴のないものしか輸入されていなかった」(内山専務)という。

 カンブリアは社内にデザイナーを複数抱え、大胆な柄が得意。毎年新作を発表し、米国では現在140種類の柄を販売する。

 3月の展示会から3カ月もたたないうちに、大手アパレルメーカーが、さっそく自社ビルの会議室のテーブルとして導入した。高級ホテルのバーカウンターにも採用が決定。「水回りと違ってビジネスのスピードが速い」と内山専務も驚く順調な滑り出しだ。

旅館から住宅、浴槽から 台所へ事業を拡大
●アステックの売上高推移

 「米国のデザインだが、色や柄によっては和風にアレンジも可能。これまで浴槽を導入してもらった旅館に紹介していきたい」(内山専務)。加えて、現在、売り上げの35%を占める住宅向けでも掃除などが楽なことを訴え、台所や洗面所向けに紹介していく。

 「風呂にこだわりが強いのは男性が多いが、女性の気持ちをつかめれば、今度の台所でも成功する」。内山社長はそう信じている。