大村社長「カイゼンに終わりはない」

INTERVIEW
大村禎史社長に聞く
意味のない商品やサービスが多すぎる

 「国が豊かになるということは、モノや土地、設備と比べて、相対的に人のコストが高くなるということだ」。この会社に入った時からこう考えてきました。仕事の単純化や標準化を繰り返し、生産性を上げる努力を続けてきたのはそうした背景からです。

 人件費はこれからも上がっていくでしょう。なので生産性を上げなければ、収益性は落ちます。例えば、インターネット通販はまだ不確定なビジネスモデルだと考えています。モノを物理的にお客さんの手元に届けなければいけないという制約があり、それに人海戦術、労働集約型で対応しているので、人件費の上がる先進国ではそこが必ずネックになります。

 企業は、生産性を高めることができないときに、いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる状態になってしまうのだと思います。

 生産性を高める観点で、日本の社会全体で考えなければいけないのが、「商品数が多すぎる」ということです。メーカーは似たような商品を出し過ぎていますし、それをそのまま売り場に並べると、我々の生産性も落ちてしまう。

 日本社会全体が寄ってたかって商品数を多くして、不必要に忙しくしています。商品もサービスも過剰で、意味のない数量、機能が多すぎます。

 うちの主力商品である子供服でも、プリント柄や形など様々な商品がありますが、一方で売れ筋商品が出てくると、すぐに欠品してしまうという欠点があります。

 お客さんも商品数が多すぎると選びにくいでしょう。選択肢をある程度、絞り込んで提示することで、買い物時間を短縮することができます。

 従来のような商品では競争に耐えられません。商品力は西松屋の抱える大きな課題だと考えています。PB(プライベートブランド)商品を変えるため、電機メーカーなどからの中途採用を積極的に進めています。PB商品を開発する際は、機能のムダをそぎ落とすことを重視しています。

 PBでヒット商品を出せば、逆に売れない商品を削っていくことで総商品数を絞り込むことができます。川上の生産コスト、川中の物流コスト、そして川下の店舗運営コストなど、さまざまなコストが削減できるようになります。

 これまでのように新規出店を続けて店舗数が今の2倍になったとしても、商品数が半分になっていれば運営負担はさほど変わりません。これまでも商品数の削減に取り組んできましたが、実際にヒット商品が出てきたので加速していきます。

 「Tシャツ」「ベビーカー」など、PB商品を育ててカテゴリー単位でシェアを拡大できれば、成長余地は十分にあると考えています。べビー・子供用品市場で見ると、国内の大手メーカーはすでに圧倒的な国内シェアを持っているので、グローバル市場でシェアを取っていかないと成長できません。しかし小売りは事情が違います。

 国内のベビー・子供用品市場は2兆円程度だと見込んでいますが、我々はまだその5%程度しかシェアを持っていません。新規出店とPBの拡大で十分成長できますし、中途半端に海外にいってもうまくいかないでしょう。売り場や商品の「カイゼン」に終わりはありません。まだまだです。生きているうちにできるのか、と心配になるくらいです。(談)

大村社長は西松屋創業者の娘と結婚した縁で、ベビー・子供用品業界に足を踏み入れた。今でも兵庫県姫路市の本社(左)から、全国に指示を出す(写真=菅野 勝男)
大村社長は西松屋創業者の娘と結婚した縁で、ベビー・子供用品業界に足を踏み入れた。今でも兵庫県姫路市の本社(左)から、全国に指示を出す(写真=菅野 勝男)
まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。