店長のある一日を密着

ブラック労働しなくても効率管理はできる/夕食も自宅で
5店で店長1人なぜ可能? 密着取材で探る

 西松屋では、多店舗を受け持つ店長を「スーパーインテンデント店長」と呼ぶ。その1人である名倉拓郎店長に1日密着し、同社のローコスト経営の秘密に迫った。

09:45 1店舗目に出勤

 今日は埼玉春日部店で業務開始。防犯の関係上、従業員が2人以上いなければ店を開けられない。従業員が来るのは開店時間の直前のため、店長自身も早く来る必要はない。西松屋は外にのぼりを立てず、店内にもワゴンなどがないため、開店準備は必要ない。


10:00 開店してすぐ見回り

 10時開店。まずは店内の見回りから。前日までに従業員に指示した清掃や商品陳列などがきちんと実行されているかをチェック。気付いたことはメモしていく。


11:00 書類の処理に没頭

 返品伝票や勤怠管理など書類の処理。量が多く、1日の業務中でかなりの時間を取られている。実は名倉店長は業務システム改革部の会議に参加しており、現場の代表として発言する機会がある。「どこか削れるところはないか」。作業しつつ、改善案に考えを巡らす。


11:25 他店の従業員に指示

 本日最後に行く予定だった越谷大袋店の従業員から携帯に電話。「その商品はもうメーカーにも在庫が無いと伝えてください」。客からの商品問い合わせへの返答を指示して解決。物理的に店にいられない時間帯は、こうやって従業員をカバーする。

1店舗目
1店舗目
西松屋の店長は、書類の処理と売り場の見回りに多くの時間を割く(写真=竹井 俊晴)

11:50 2店舗目に移動

 次はさいたま岩槻店で業務。この店は2007年から10年間担当している。従業員もベテランが多く業務が安定しているため、直接来るのは1週間ぶりだ。まずはたまった書類の処理から始める。


13:20 「草刈り完了」と報告

 業者に依頼していた店舗周辺の草刈りが実行されたか確認。周辺の風景をデジタルカメラで撮影して本部に送信する。

 西松屋では店舗内外の修理や整備は基本的に専門の業者に任せる。店長は業者への作業発注と事後管理をして、本部に報告書を送信するだけだ。


14:00 お昼の休憩(少し遅め)

 休憩は1時間。今日のお昼はコンビニエンスストアで買ったおにぎりだ。

2店舗目
2店舗目
伸び放題だった雑草がなくなった、と画像で本部に報告(左)正社員は店長1人しかいないので、問い合わせは集中(右)(写真=竹井 俊晴)

15:20 売り場のミスは厳禁

 越谷大袋店に移動。売り場のチェックをしていると、子供用スーツが所定と違う場所に並べられているのを発見。西松屋は「どの棚にどの商品を置くのが一番効率的か」という検証に基づいて棚割りを決めており、これを守っていないケースは必ず修正しなければならない。


17:00 「作業割当表」を作成

 従業員向けの「作業割当表」を作り始める。レジ打ちや掃除、休憩など絶対に必要な業務は、最初から固定されている。残った時間をどう差配するかが、店長の腕の見せどころだ。明日は納品があるので、それを頭に入れながら従業員への指示を書き込む。

 1店舗の1日分の表を作るのにかかる時間が約16分。5店舗分ともなると確実に1時間以上かかる。ここでも「ムダな作業を減らせないか」と思案しながら、黙々と表を作る。


18:30 緊急の商品移動指示

 本部から「越谷大袋店で売れ行きが良くなかった女子用のハーフパンツを至急、近くの店に移動せよ」との指示が飛び込む。従業員に該当する商品を売り場から下げてもらい、宅配便で発送。

 商品の売れ行きに応じ、過剰な在庫を売れる可能性のある近くの店に移すことは珍しくない。ただ、通常は納品のタイミングに合わせて移動対象の商品をもっていってもらう仕組みとなっているが、今日は緊急だったようだ。

3店舗目
3店舗目
「作業割当表」作成は1日最後の大仕事だ(左)。他店舗への商品移動も多い(上)(写真=竹井 俊晴)

18:50 夕飯は自宅で食べる

 本日の業務終了。5店舗すべてに1日で行く必要はない。今日行けなかった北越谷店と野田みずき店は明日以降、行く予定だ。

 開店と同じように、2人以上いなければ店を閉められない。ただ、従業員が閉店まで2人いるため、店長が最後まで残る必要はない。挨拶を済ますと、マイカーで帰路に就く。「夕飯は自宅で食べよう」


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