これだけではない。いったん注文した消費者からのキャンセルの受け付けや、クレームへの対応なども仕事のうち。服1着が届くまでに、物流の裏側ではこれだけの作業が行われている。

商品の梱包作業。現場の従業員からのさまざまな改善提案を取り入れ、作業効率を高めている

 イー・ロジットのサービスの特徴は、顧客企業が求める多様な作業に、きめ細かく対応できることにある。商品撮影はセンター内のスタジオで代行。商品が入荷したらその日のうちに顧客の販売サイトに掲載できる。商品の包装も代行し、母の日などのイベント時には、特別な包装にも対応する。

 「ホイールにタイヤを装着したうえで発送するなど、センター内での『加工』に対応してくれるのがありがたい」

 イー・ロジットを15年から利用しているカー用品大手、オートバックスセブンの小野田裕繁ネットビジネス推進部長はこう語る。自社で独自の配送スタッフを用意する必要がなくなったため、出店しているアマゾン・ドット・コムや楽天市場のセールの時だけ、臨時で人員を増やすといった手間がなくなった。せっかく増やしたのに、思ったほどの注文が入らず人員が余ることもなくなったという。

 多くの小売企業にとり、通販のために人材を採用するのはコストがかさむ。この悩みに応えていることもイー・ロジットが支持される理由だ。

 イー・ロジットのもう一つの強みは、トヨタ自動車に代表される製造業ではおなじみの「カイゼン」にある。イー・ロジットの埼玉フルフィルメントセンターに一歩足を踏み入れると、至る所に改善活動の痕跡が見つかる。例えば、ある企業用に特別に使っていた箱の種類を変更した。箱を閉じる際に1枚のフタを上からかぶせて差し込むものから、左右両方に2枚のフタがついて真ん中で合わせるものにした。1箱あたり4秒の作業時間の短縮となり、資材費で年間292万2000円、人件費では年間86万5000円を削減できたという。

「改善アイデア」年間3000件

 従業員が提案する改善案は、全社で年間3000件。毎月1人1件以上の提案を目標としている。埼玉フルフィルメントセンターの正面玄関には、従業員のさまざまな改善提案が壁一面に張られている。各作業班のリーダーはメンバーの提案一つひとつを講評する。「その提案は目からうろこです。ぜひ導入しましょう」といった具合だ。提案は月に1回表彰し、1年間を通じての優秀賞も選ぶ。上記の提案は非正規社員によるもの。15年度の最優秀個人提案賞に選ばれ、10万円の報奨金が贈られた。

ネット通販の成長で売上高は急増<
●5年間の売上高の推移

 「物流は原価の一部だと考えられ、いかに安くするかにばかり目が向けられる。しかしイー・ロジットは、商品撮影やギフト包装に加えて、『早く商品を届ける』『箱の中身を間違えない』といった付加価値を追求する。マーケティング力を強化するのと同じように、物流力を高めることは顧客企業の競争力につながる」と角井社長は語る。

 人手不足の中、配達量の増加に悩む物流業界に向け、再配達の依頼を簡単にして不在配達を減らすアプリ「ウケトル」も関連会社で開発。「我々の仕事は購入者が商品を手に取るまで」という角井社長の言葉通り、発送してから消費者の手に届くまでのプロセスの改善も加速させる。