2度の転機で飛躍

 阿部社長がファンデリーを設立したのは2000年、27歳のときだ。損害保険会社に勤務し多くの経営者に出会う中で、起業に興味を持った。何をやろうかと考えたとき、着目したのが「食」と「健康」。健康な人が増えれば医療費は減るし、長く幸せに暮らせる。「テレビ番組で健康に良い食材が紹介されると売り場に客が殺到したり、極端な食事制限が広まったりすることに、かねて問題意識を持っていた」(阿部社長)

 過去に出会った経営者から、「全ての行動の原点は“思い”にある」ことを学んでいた阿部社長。食と健康に強い思いを持つ栄養士を生かそうと考えた。

 創業の翌年、レシピと食材を栄養士が直接、顧客に配達するサービスを開始。だが、せっかく栄養士が訪問しても、客が不在だったり「そこに置いておいて」と言われたりと、栄養士の価値を十分に発揮できなかった。仕入れコストや配達の非効率性も課題だった。

 最初の転機は03年。口コミやウェブサイトの効果で知名度が徐々に上がり、遠方の客からも問い合わせを受けるようになり、通信販売を始めようと思い立った。

 ただ、「通信販売を始めようにも、カタログを作るお金さえなかった」(阿部社長)。「食品メーカーの広告を入れてはどうか」という知人のアイデアを取り入れ、10人に満たないスタッフで広告主を探すとともに、カタログを置いてもらえる医療機関を飛び込み営業や電話で開拓。冷凍弁当の製造を請け負ってくれる工場や、注文を受けるオペレーターの確保にも奔走した。そうして04年、9社の広告主を得て「ミールタイム」の創刊にこぎ着けた。

 徐々に売り上げを伸ばす中、「より多くの人に利用してもらうためには、ニーズに合った価格や内容へと転換する必要があると考えた」(阿部社長)。2度目の転機は11年。それまで900円前後だった価格帯を500円台へと一気に引き下げた。競合との差異化や原価圧縮のため、品ぞろえも見直した。3割ほどを占めていた他社製品の販売を中止し、全て自社製品へと切り替えた結果、売上高と利益率は大きく向上した。

売上高は30億円を突破
●ファンデリーの業績推移

 現在は年4回、メニューの半分以上を見直す。豊富な選択肢を用意することで、食材の不作や価格高騰といった外的要因にも柔軟に対応。賞味期限が3カ月~1年と長い冷凍弁当ゆえ、基本的に廃棄ロスはゼロだという。

 「目指すはヘルスケアの総合企業」と阿部社長は意気込む。16年10月にはシャープと連携し、同社のIoT家電を通じて、食や健康に関する情報や広告を配信するサービスを始めた。

 手軽さで浸透した冷凍食品の市場は今も拡大傾向にあり、ファンデリーにとっては追い風だ。膨張を続ける医療費をいかに抑えるか。食を武器に、その難題に挑み続ける。