基板販売はネット通販向き

 創業者の田坂社長は、機械・金型商社に勤めていた1990年代後半、新規事業の一環として半導体のネット通販事業の立ち上げに携わった。だが、会社の方針が一変し新規事業から撤退。同時期に退社した田坂社長は、個人でウェブサイトの立ち上げサービスなどを手掛けていたという。

 だが、ネット通販事業の可能性を捨てきれず、起業を決意。2002年4月にピーバンドットコム(当時の社名はインフロー)を設立した。「プリント基板は軽量で物流コストが安く、カスタム品なので在庫を持つ必要がない。ネット通販向きだと考えた」(田坂社長)。小ロットでの製造委託が可能な海外工場の選定と受発注システムの開発を終え、03年にはサービス開始にこぎ着けた。

 当初前面に押し出したのは「価格優位性だった」(田坂社長)。だが、知名度の低さもあり顧客からの信頼が得られず、開始当初は販売が低迷した。顧客獲得のため、「東京・秋葉原でサービス内容を書いたティッシュペーパーを配ったこともあった」(田坂社長)。

 転機が訪れたのは04年。CAD(コンピューターによる設計)ソフトを手掛けるニソール(埼玉県狭山市)の協力を受けて簡易版CADソフトの無償提供を開始。すると中小企業などが無料ソフト目的に一気に登録し、ユーザーが増加。併せてピーバンドットコムのサービス利用も増えていった。

 17年3月期の売上高は18億円を突破した。だが田坂社長は「プリント基板の国内市場規模は1500億円でシェアは1%にすぎない。まだまだ伸びしろはある」と強気の姿勢を崩さない。

 シェア拡大を目指す次の一手は、大手企業からの受注拡大だ。「これまでの大手企業からの発注は個人が中心。上場を機に知名度を高め、事業所など一定規模での契約を狙う」(田坂社長)

 新規事業にも乗り出す。ピーバンドットコムのサイトに登録している技術者を、電子機器の開発経験がない企業に紹介する、開発人材のマッチングサービスを年内にも始める予定だ。

 「『IoT(モノのインターネット)』化の流れを受け、異業種であっても電子機器開発を計画する企業は多い」と田坂社長は新事業の可能性を話す。もっとも通常の人材紹介サービスと異なり、登録対象は個人事業者ではなく企業に所属する技術者。4万5000人を超える登録者からいかに協力を得られるかが成長のカギを握りそうだ。