(前回から読む)
レンタル店から書店、家電まで──。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の定義が難しくなっている。衰えぬ起業家精神で小売りの新事業を打ち出す増田社長に「何の会社ですか」と聞いてみた。ネット時代に生き残るための戦略を練る「企画屋」の将来を語った。
(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)
(日経ビジネス5月22日号より転載)

4月にオープンした銀座最大級の商業施設「ギンザシックス」内に「蔦屋書店」を出店しました。高級ブランドショップが居並ぶ中、大型書店が入るのは異例です。採算は合うのでしょうか。

増田:合う。合わせますよ。どうやって書店のビジネスモデルを変えるかということです。書店に併設させて、ぼくら自身が経営するスターバックスコーヒー、アートの展示スペースなども合わせて全体で利益を出します。スターバックスも特別な仕様に変えています。米国のスターバックス本社に直々にお願いに行って、世界一アーティスティックなスターバックスを、銀座のうちの店に合わせて考えてほしいといいました。ものすごく手間をかけてドリップで入れるコーヒーなども提供しています。
CCCはすでに、書籍販売でも日本最大のネットワークを持つ会社になっています。銀座の蔦屋書店は、日本一、もしかすると、世界でも一番コストのかかる店ではないですか。
増田:一番かもしれない。こんなお店ないですよ。
それでも利益を出そうという挑戦ですね。スターバックスの併設以外で、他社の書店にない特徴はどこにありますか。
増田:書籍は6万冊そろえています。アート関連が中心で、数十万、数百万円という独自編集の本を製作しました。日本の文化の良さを発信する本に力を入れています。文具もオリジナル商品を販売します。開業後は、すごいにぎわいで、1カ月の売り上げは8000万円程度になりそうです。
増田社長は、もともとアートに興味があったのでしょうか。
増田:全然ない。最近ですよ。事業として意識し始めたときからです。
開業の準備期間はどれくらいだったのでしょうか。
増田:3年半くらいです。『代官山 T-SITE』という蔦屋書店を核にした商業施設をオープンしたのが2011年12月。その後、銀座でこういう再開発があるという話を聞いたのです。僕はインバウンド消費のことをずっと研究していたこともあって、ギンザシックスの(物販系フロアで)最上階である6階、一番いい場所を全部やりたいと言いました。
デベロッパー側には自ら売り込みに行ったんですか。
増田:そうです。うちの出店は、ほとんど僕らの売り込みです。
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