ウォレン・イースト アームホールディングスCEO (最高経営責任者) に聞く
真の競争相手は顧客の中に

 現在、我が社には追い風が吹いています。IT(情報技術)機器から自動車まで様々な分野でインターネット接続が拡大しているのに加えて、省エネルギー志向も高まっています。アームの特徴である低消費電力で高性能を出せるMPU(超小型演算処理装置)設計が生きる環境となっており、長期的な成長が見込めます。

 米マイクロソフトの次期基本ソフトは、アームMPUでも動作するようになります。パソコン向けMPUで米インテルは高いシェアを持ちますが、アームには多くの半導体メーカーと協力するビジネスモデルという武器があります。

(写真:永川 智子)
(写真:永川 智子)

 ただし、本当のライバルはインテルというより、富士通やパナソニックなど顧客企業の設計部隊です。我々は設計部門に勝る競争力を磨き続けなければならないからです。そのため、料金政策は非常に注意深く考えています。ロイヤルティーを上げたこともありますが、MPU設計が高度になり価値が上がったからです。理由もなくロイヤルティーを2倍になどしたら、すぐに顧客内部の設計部門との競争に負けてしまいます。

 M&A(合併・買収)の考え方は、「買収相手は我々の研究開発のアウトソーシング(業務の外部委託)先」というものです。例えば過去に画像処理半導体関連の企業を買収した時には、同市場で10社近い企業をピックアップし、その中からベストな企業を買収しました。社内だけでやることもできたでしょうが、この方が効率的です。

 ビジネスモデルの弱点があるとすれば、半導体を使う顧客企業と我々に直接の取引関係がないこと。その点で問題が起きないよう、注意を払う必要があります。また、1つのビジネスモデルに固執すれば、世の中の変化に乗り遅れます。我々は実際に20年間、ビジネスモデルを進化させ続けてきましたし、今後も改善していきます。(談)

(日経ビジネス2011年8月8日号より転載)

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