時計の技術がロボットで生きる

 スマートグラスは他社の参入も盛んになる中、社内の技術を組み合わせることで、「稼ぎながら技術を高める」ことを目指している。例えば、スマートグラス向けに開発した光源の制御技術を、既存のプロジェクターなどの技術と組み合わせ、家庭やオフィスなどの照明関係のビジネスに乗り出そうとしている。

 家の中の照明がプロジェクターになり、部屋の壁にテレビを映し出せたり、好きな壁紙に変えたりといったものを想定している。机の上をたたくと新聞紙面を映し出すなど、あらゆる場所をディスプレーとして使う。

 これから製品化する双腕ロボットは、短期的には工場の生産現場がターゲット。クオーツ式時計で培った水晶振動子の技術を応用することで、人間の手先と同じように微妙な力加減を再現しようとしている。鍵を鍵穴に入れ、感触を確かめながら鍵をずらして奥に入れていくといった動作ができるようになる。

自律的に作業内容をカイゼンできるロボットを目指している
●エプソンが開発している双腕ロボット
複数の作業ができる汎用ロボットにする予定で、作業する場所を変えられるように運びやすくしている

 産業向けの次には、家庭も含めたより広い分野への進出を狙う。介護で人をやさしく運んだり、ベッドメークでシーツをしわなくしいたり、お皿を割れないように運んで洗ったりといった、人間と同じような動作ができるロボットを開発する。

 ロボットにAI(人工知能)を活用する研究も始まっている。設計図などを読み込ませて作業内容を理解させておけば、作業の手順や動きをあらかじめインプットしなくてもロボットが自ら工夫し、考える。

 AIの実験では、人間が思いつかない方法や、人間の腕ではあり得ない角度に腕を曲げて作業するといった成果が生まれている。効率は高まるが、介護現場などでは、動きに違和感を覚えた人間が緊急ボタンを押してしまう恐れがある。AI採用の今後の課題だ。