遭難時に救助ヘリが無料

 ココヘリの特徴は、子機の貸し出しとセットで、遭難時に救助ヘリサービスを提供していること。日本山岳救助機構によると、警察や消防の救助ヘリは、複数の遭難事案の同時発生により、現場に行けないことがしばしばある。民間の救助ヘリに依頼すると、1分間当たり1万円程度の料金が発生する。ココヘリ加入者には、提携業者が1回の遭難事案につき3回まで無料でヘリを飛ばしてくれる。本来なら200万円程度かかる費用は、オーセンティックが負担。山岳保険に似た仕組みだ。

新サービスの「ココヘリ」はヒトココを持つ登山者が遭難した際にヘリで捜索してくれる
新サービスの「ココヘリ」はヒトココを持つ登山者が遭難した際にヘリで捜索してくれる

 保険は「大数の法則」に基づき、加入者を増やして個人の負担を小さくする。小規模ベンチャーのオーセンティックが保険に似た仕組みを運用できる背景には、あるからくりがある。

 オーセンティックは年会費の一部を提携するヘリ運行業者に先に支払う。収益に波がある救助事業で安定収入を確保できるのは業者にとって渡りに船。そのため「運行業者は原価に近い価格でヘリを飛ばしてくれる」(久我社長)。

 3月下旬には栃木県那須町で雪崩事故が発生して高校生ら8人が死亡した。痛ましい事故が起きる中、オーセンティックはヒトココを全国約6000人の高校登山部員に提供することを計画。協力企業を募っている。「事故をきっかけに『登山は危険』というイメージばかりが広がってほしくない」(久我社長)。だからこそ独自の技術を生かして、緊急時の助けになる仕組みを普及させようとしている。

(日経ビジネス2017年5月8日号)

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