親機と子機の間で電波を飛ばして距離や方向を測定する無線機器「ヒトココ」を手掛ける。障害者らの見守り機器として販売してきたが、救助ヘリと組み合わせた登山者向けサービスの需要も急増する。

無線機器の「ヒトココ」
親機と子機の電波のやり取りで、子機の持ち主がいる方向や距離を表示。電波環境に左右されず、建物内でも有効(写真=尾関 裕士)

 4月中旬、東京都内のある知的障害者の支援施設。労務作業のために外出する20代の男性入所者の胸元には、お守りくらいの大きさのオレンジ色の「子機」が下げられていた。

 職員が持つ「親機」には「見守り中」の文字が表示されている。男性が事前に設定した範囲から離れると、呼出音とともに振動し、居場所を探すサーチモードに切り替わる。親機と子機の間で電波をやり取りし、男性がいる場所の方角と距離を示す。

 これがオーセンティックジャパン(福岡市)が開発した無線機器「ヒトココ」だ。施設の担当職員は2016年夏にヒトココを導入した理由を、「本人の安全確保はもちろん、地域への配慮もあった」と説明する。子機を持つ男性は時折、近隣の店舗で飲料を購入せずに飲んでしまうことがあったからだ。

 この施設では入所者を閉じ込めるような施錠はしない。「むやみな管理は入所者や家族の気持ちを害するし、地域住民に『危険な人物がいる』という誤った印象を与えかねない」(担当職員)からだ。悩ましい問題を解決するためにヒトココを導入した。