「すっぽんぽんでいこうよ」

 この6月には、三菱商事出身の竹増(貞信)副社長が社長に昇格します。前任の新浪(剛史)さんも三菱商事出身だったけれど、彼はローソンの独立性を旗印に求心力を生んできた。その経緯があったからこれまでは、三菱商事もローソンも互いに遠慮があったんです。

入社式などでは、ローソンの2020年の姿を描いた映像を公開。最新技術を駆使した近未来的な仕組みがたくさん導入されている
入社式などでは、ローソンの2020年の姿を描いた映像を公開。最新技術を駆使した近未来的な仕組みがたくさん導入されている

 けれど僕は三菱商事の出身ではない。その上で客観的に見ていると、やはり三菱商事にはたくさんのリソースがある。であれば、もっと大胆に巻き込んで、その資産を活用させてもらった方がいい。だから「これからは三菱商事グループと一緒に総合戦だ」と宣言したんです。

 サプライチェーンの領域や海外事業、あるいは新規事業や新サービスの開拓。三菱商事を徹底的に巻き込んで、結果としてローソンの改革のスピードを上げて成長につなげる。これが狙いです。

 決断を下したのは今年に入ってからのことです。ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスも統合の過程で、(ファミマの筆頭株主の)伊藤忠商事が存在感を高めてきている。時を同じくして、ローソン役員でもあった垣内(威彦)さんが三菱商事の社長に就いた。色々と相談をする中で、三菱商事全体としての応援をお願いし、そのために竹増さんにローソンの社長をやってもらうことになりました。

 (三菱食品社長の)森山(透)さんには、「すっぽんぽんでいきましょうよ」と言いました。互いに丸裸になって、お客様や市場、競合を見て踏み込んでいく。物流改革も一緒にやっていきます。

 三菱商事の原材料調達と我々の原料調達会社も連携するし、我々が中食の製造委託をしている工場に対する設備投資や強化も、三菱商事と一緒にやる。

 今はピンチとチャンスが混在しています。企業の仕組みや文化は1年や2年で作れるものではありません。セブンイレブンだって、鈴木会長が何年も言い続けて今がある。だから鈴木会長が引退しても、あっという間に瓦解することはない。むしろ、より強くなると思っていた方がいいでしょう。

 ファミマとユニーの統合も、僕は質を伴った量が大事と言っていますが、ある程度の規模が重要だとも思っています。だからローソンも出店を続けて量を追う。ピンチと考え、それをチャンスに置き換えるようやっていきます。(談)

(日経ビジネス2016年5月2日号より転載)