ローソンの企業研究──「3番手 ローソン、『質』で巻き返す」の記事と連動して、玉塚元一ローソン会長(※)にインタビューを行った。玉塚会長は、「今年度から3年で、大きく仕組みを変える。我々の課題である『偏差』を解消しなくてはならない。頑張っている店舗のやり方を体系化、基本の『型』として、みんなでそれを目指していく」などと語った。

※取材時の玉塚元一氏の肩書は社長(2016年6月から会長)。
(写真=陶山 勉)
(写真=陶山 勉)

 今年度から「1000日全員実行プロジェクト」を始めました。コンビニ業界では再編が進んで大手3社に集約され、これからさらに競争が激しくなります。そこで昨年、僕たち役員は、毎月1度、週末に集まって、未来のローソンがどうあるべきかと議論を重ねてきました。そして、今年度から3年でガラガラポンをして、仕組みを変えると決めたのです。

 企業は掛け声だけでは変わりません。だから具体的に次世代の仕組みを入れ、全てを変えようとしている。ローソンを支える仕組みを根底から変えます。

向き合うべき課題は「偏差」

 そのためには、我々の課題である「偏差」を解消しなくてはいけない。ローソンは全国に1万2000店あるけれど、頑張っている店舗とそうでない店舗との差が大きい。これまではベストプラクティスを言語化し、標準化するためのツールが不足していたのかもしれません。

 ただ、偏差があるということは、改善する余地があるということです。差を劇的に縮めて、頑張っている店舗のやり方を体系化し、みんなでそれを目指せばいい。武道やスポーツに基本の「型」があるように、商売もいい店舗を作る基本の行動様式がある。いわば土台です。

 我々の課題は、このあるべき土台が、まだまだ徹底していないことにあります。そこで基本レベルを飛躍的に上げるために、セミオート発注システムや計画発注システムを導入しました。これが改革の「フェーズ1」ですね。

 今はこの新しい仕組みを全店舗に徹底しているところですが、現段階だけを見れば、仕組みで店舗の標準化を突き詰めているように映るでしょう。

 けれど、商売にはデジタルとアナログの両方が必要です。もちろん、セミオート発注システムは徹底的に活用する。だけど同時に、いい商品が出たら、それを積極的に売っていく、アナログな商売も大切なんです。意思を持って売り場を作って勝負をかける。それをないがしろにするつもりはありません。

次ページ 「すっぽんぽんでいこうよ」