INTERVIEW
創業2代目、羽鳥由宇介社長に聞く
未来は読めない、いまは足腰を鍛える
(写真=北山 宏一)

 2016年に社名を変えたのは、我々がもはや「ガリバー」という単一のチャネルで中古車を扱う会社ではないという決意を、社員や取引先に伝えたかったからだ。これからは小売りの販売チャネルを増やす。ネットを活用した新規事業にも取り組むし、海外事業も本格化させる。自動車という領域で、時代とともに様々な分野に挑んでいく。そんなメッセージを込めたつもりだ。

 名誉会長であり父でもある羽鳥兼市が会社を設立したのは1994年のこと。最初の10年はとにかく無我夢中で、泥だらけになって規模を広げ、ブランドを確立させていくという時代だった。

 私が社長に就いた2008年以降は「元気なベンチャー企業」からの脱却を迫られた。お客さんにとって欠かせない、永続的に成長する会社をいかに作るのかに力を入れた。その目玉として取り組んだのが、小売りを会社の主力事業に据えるという、ビジネスモデルの大きな転換だ。

 買い取りはお客にお金を支払うが、小売りはお金をいただくビジネスだ。営業部門に求められるスキルはケタ違いで、人材育成には手間をかけた。まだ途上ではあるが、この10年でまったく別の会社になったといえるほど組織風土も変わってきたと思う。

 では次の10年をどうするか。クルマを所有する時代から、シェアする時代に変わっていく可能性は大いにあると思う。ただ、本格的に普及するのは10年以上先の話になるのではないか。

 NORELは完成車メーカーの役員も視察に訪れるなど、注目度の高いサービスだ。ただIDOMを未来永劫支えてくれる本命事業かというと、まだそれは誰にも分からない。米シリコンバレーにも自動車関連事業を手掛けるスタートアップが300~400社あるが、いずれも利益は出ていないと聞く。

 ビジネスモデルというのは必ず陳腐化する。しかも、最近はそのスピードが速まっている。だから我々はビジネスモデルを考え出すのではなく、どんなビジネスモデルが自動車業界の主流になっても対応できるようなインフラを持っている会社でありたい。

 小売店舗を急速に増やしていることの背景には、そんな狙いもある。どんなサービスであっても、最終的には実在する拠点と、フェース・トゥ・フェースの対応ができる営業スタッフが必要になる。逆にいえば、店舗というインフラさえあれば、そこで売買でもライドシェアでもレンタカーでも何でもできる。インフラという足腰を作るのは非常に「面倒くさい」のだが、面倒くさいことを愚直に続ける努力こそが、他社との差別化につながると考えている。(談)

(日経ビジネス2017年4月24日号より転載)