結婚相談所も開設

 こうした工夫は、はなこが類似店の多さから差別化で苦しんだ反省に基づいている。横山社長は「男女の出会いをマッチングするというだけでは参入障壁は低い。仕組みは同じでも中身は全く違うという独自色をいかに磨き込めるかが勝負」と強調する。

 その最たるものが、スマートフォンのアプリだ。来店客は無料で利用でき、来店予約や来店時に割引ポイントをためられるほか、店ごとの混み具合や男女の比率まで調べられる。さらに、相席になった人同士がチャットで直接やり取りできる機能もある。携帯番号などを教えることなく安心してやり取りできる点をアピールする。

相席屋の専用アプリでは店舗ごとの混雑状況が確認できるほか、来店者同士でチャットができる機能も備えている

 初対面の相手に自分の連絡先を教えるのは抵抗がある人が多いが、アプリ内でのやり取りに限定されるため、個人情報などが漏れる恐れはないという。アプリの利用者は現在約30万人に増えており、データを解析してサービスの向上にもつなげる考えだ。

 店員の教育は接客面だけでなく、どんな男女の相性が盛り上がりそうかなど「効果的にマッチングするスキルを向上させることに主眼を置いている」(横山社長)。店員の質がリピーター増加には不可欠と考えるためだ。

 通常の相席屋だけでなく、主に30代以上をターゲットにして料理の品質を高めた「相席屋R30」、全席を個室にした「相席屋Plus」なども展開している。「全てが想定通りとはいかないが、どうしたらお客様を満足させられるかの仮説検証を繰り返している」(横山社長)。

 居酒屋業態が核のセクションエイトが目指しているのは外食分野での成長だけではない。5月には東京都新宿区で新たに結婚相談所をオープンする。通常の結婚相談所が登録料や月額費などがかかるのに対し、同社がうたうのは「完全成功報酬」。会員が紹介された異性に会ったり、交際に発展したりしてから料金が発生する仕組みだ。

 「相席屋のブランドを中心に、晩婚化という社会的な課題を解決する総合サービス業を目指す」と話す横山社長。今後はブライダル事業への参入も視野に入れている。顧客の満足度を高め続けられるかが、さらなる躍進のカギを握る。

(日経ビジネス2016年5月2日号より転載)