駐車場経営で27期連続増収を続けるパーク24。6年前に開始したカーシェアリングで市場を独走する。自前の駐車場とデータを生かすチーム力が強さの秘密だ。

東京都心に住む会社員平田京介さん(35歳、仮名)は、妻と2人でドライブに出かけるのが趣味だ。クルマは持っていない。毎回家からバスで10分ほどのレンタカー店でクルマを借りる。クルマの購入を検討したこともあるが、休日の利用のために月4万円もの駐車場代は高すぎるとあきらめていた。
そんな平田さんが最近自宅付近でよく見かけるようになったのが、タイムズの駐車場にあるカーシェアリングのノボリ。手続きが面倒くさそうと二の足を踏んでいたが、入会を決めて申し込んでみると、ウェブ上から免許証の写真などを登録するだけですぐに完了。スマートフォンのアプリから自宅近くの複数の駐車場の空車状況を確認し、車種やガソリンの残量などを参考に予約でき、早ければ5分後にはクルマに乗れる。乗車時は、クルマにカードをかざすだけ。15分206円で、料金は使った分だけ支払えばよい。おまけに、返却時にはガソリンを入れなくてもよいという。平田さんは、ドライブ以外にも、友達を駅まで迎えに行ったり、妻を友人宅まで送り届けたりする際にも使っている。「レンタカーの代わりだけでなく、今までタクシーを使っていたようなシーンでも使っています。もう後戻りできませんね」と笑う。
駐車場の数はセブンに匹敵
鮮やかな黄色い並行四辺形の中にクルマをかたどった「Times」の黒い文字。その上に小さく配された「24h」の赤い文字。日本ではもはや、この看板を見ずにクルマを走らせることは不可能ではないだろうか。
今や、タイムズの駐車場の数は、全国1万4979件(2015年7月末時点)。
その数はセブンイレブンの店舗数1万7886件(同)に匹敵する数だ。セブンイレブンのロゴを見て、「コンビニだ」と認識できるのと同じくらい、パーク24の「タイムズ」は駐車場としての知名度を獲得している。
そのタイムズの駐車場に、変化が表れ始めたのは2009年5月のことだ。見慣れない「カーシェア24」という文字とともに、パーク24が所有するクルマが置かれ始めた。のちに「タイムズカープラス(TCP)」となるカーシェアリングサービスの始まりだ。TCPは今年7月に会員数50万人を突破し、目下パーク24の駐車場事業に次ぐ第2の柱になろうとしている。2014年10月期に初めて通期で黒字化を達成し、今期は147億円の売り上げを見込む。
カーシェアリングの歴史は、10年程度とまだ浅い。オリックス自動車が2002年に国内初のサービスを開始したのを皮切りに、三井物産子会社(現・三井不動産リアルティ子会社)のカーシェアリング・ジャパンが2008年8月に参入。2009年5月にスタートしたパーク24は、後発と言える。にもかかわらず、開始後6年でエリアは42都道府県、車両数は1万2616台、ステーション数は7064カ所に上り、業界トップを独走する。交通エコロジー・モビリティ財団によれば、2015年3月時点での国内におけるカーシェアリング車両台数は1万6418台、会員数は68万1147人。市場の約7割をパーク24が握っていることになる。
後発にもかかわらず、なぜパーク24がトップに躍り出ることができたのか。強さの秘密は2つある。1つが、もともとの生業が「駐車場屋」であることだ。
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