海外は元気寿司が先行

 もちろん巨大な空白地は海外市場だ。日本食人気を追い風にしようと、競合各社も海外展開を模索している。中でも元気寿司は、売上高の2割を海外で稼ぎ、頭一つ抜け出た印象だ。

 一方、スシローの海外店舗は韓国だけで、今月に8店目を開業する。だが同国の事業は黒字化に7年ほどかかっており、決して楽な道のりではない。

 外食業界の中にあって、回転ずしチェーンは「最後の有望業態」という声もあるが、それでも国内だけならいずれ成長は頭打ちになる。根強い日本食ブームを追い風にして「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」という理念で世界で勝負する。悲願の上場の先に大きな目標がある。

(河野 紀子=日経ドラッグインフォメーション
須永 太一朗=日本経済新聞証券部)
肩書は日経ビジネス記事掲載時(2017年4月)のものです。

群雄割拠の回転ずし、飽和までにはあと5年

 「スシロー」のような1皿100円を基本とする回転ずしチェーンは、くらコーポレーション、ゼンショーホールディングス(HD)傘下のはま寿司、カッパ・クリエイト、元気寿司の5社が有力企業だ。業界再編の荒波の中で、競争は熾烈を極めている。

 低価格ずしの店は、低コストが基本なので郊外店が多い。デザートやラーメンなど、すし以外のサイドメニューを強化したり、子供が喜ぶようなサービスを用意して、近隣のファミリーレストランから顧客を奪ってきたことも、堅調の要因だ。

大手の店舗数は300~400店規模に
●回転ずし大手5社の業績と店舗数
*=はま寿司は経常利益を掲載
注:くらコーポレーションは鮮魚店を含まず。カッパ・クリエイトは都市型店を含む

 回転ずしが転換期を迎えたのは、2000年ごろ。それまで40~50席規模の店が中心だったが、カッパが100席以上の大型店で100円均一の商品を出した。関東で店舗数を拡大していたカッパは、元気寿司を抜いて売上高日本一を達成したが、全国にエリアを拡大する中で、関西で苦戦。その後、各社に抜かれた。16年には店のロゴなどを変えてイメージ刷新を図るも、17年3月期は赤字を見込む。

 カッパを14年に買収した外食大手コロワイドは傘下に、「にぎりの徳兵衛」「海鮮アトム」などのすし業態を約60店展開するアトムも持っている。カッパは苦戦しているものの、コロワイドグループは依然、スシローにとって手ごわいライバルであり続けるだろう。

 店舗数ではスシローを抜いて日本一に躍り出た、はま寿司。ゼンショーHDの子会社であり、スシローとは因縁の関係と言える。ゼンショーグループの和食店「華屋与兵衛」など他業態からの転換を進めたことで、2002年の1号店から15年で400店規模まで増やした。

 それに対して、コンスタントに毎年数十店をコツコツ増やしてきたのが、スシローとくらコーポレーションである。大阪発祥の両社にとって、北日本や都心は今後の開拓余地が大きい。

 いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は、回転ずしチェーンの市場規模を6300億円とみる。「7000億円程度までは市場は伸びるだろう。大手全体で毎年100店出店、200億円ずつ増えるとすれば、あと5年は出店による成長が可能」と話す。その先はシェア争いが激化し、利益を出しにくい時代が来る。群雄割拠の状態から業界の再編・集約が進む可能性がある。

(日経ビジネス2017年4月17日号より転載)