ペルミラ傘下で4つの改革

 その後、大株主がペルミラに代わってからは、それまでの規模拡大に加えて、激化する競争に対応できる強い企業体質を目指し改革を進めた。大きな柱は(1)仕入れ(2)メニュー(3)店舗オペレーション(4)ITシステム──だ。

調達から予約システムまで、多岐にわたって改革
●スシローが注力してきた施策の例

 すしを提供する以上、仕入れる食材は決定的に重要だ。スシローは数百店規模にもかかわらず、魚について「目利き」と言える社員は2人だけだった。そこで5年ほど前から、マグロやエビなど、それぞれの仕入れを熟知した人を外部から招聘し、6人体制で仕入れのレベルを高めたのだ。

 スシローがこうした改革に取り組んでいる中で、業界は大きく揺れ始める。13年末、カッパ・クリエイトホールディングスと元気寿司が、経営統合を前提に業務提携すると発表した。翌年に破談するものの、業界再編の荒波は、競争の激化と市場成長の限界を感じさせるものだった。

 スシローが顧客に評価されたのは、価格に比べてネタの質が高いという「お値打ち感」が大きい。仕入れの改革はその原点に磨きをかける意味がある。

 「世界の海からいいネタ100円プロジェクト」──。16年秋にスタートしたのは、厳選したおいしいネタを100円で提供する企画だ。第1弾で提供したのは、5~6年前にメニューからひっそり姿を消したウニ。人気がある一方、苦みやえぐみが出やすく、味にばらつきがあり、溶けやすい。苦渋の決断で発売を中止したウニの再開に挑んだのだ。担当者がチリに出向き、表面に適度に火を通すことで品質を安定させたり、崩れないような加工作業を決めたりといった工夫を凝らし実現した。

 店舗運営の改革では、外部に委託していたハマチの皮引き、活きたアワビの殻むきといった作業を店内で行うように改めた。「効率化ありきではなく、ひと手間かけておいしいものを出していく。スシローが持つ文化が徹底された」と事業会社あきんどスシロー営業本部長の新居耕平・執行役員は話す。

 こうした原点回帰の一方、マーケティングなどでIT活用を急いだ。「店内作業の効率化などにITを活用してきたが、さらに顧客の利便性を高める技術に注力した」と清水執行役員は話す。

 2015年、スマートフォン向けアプリをリリースし、来店予約や持ち帰りの注文などを受け付けた。16年秋には、アプリでポイントサービスを提供し始めた。現在、スシローアプリは600万ダウンロードまで伸びた。

 同社では、顧客の喫食情報を回転すし総合管理システムで収集している。こうして得られるビッグデータは、12年からクラウドサービス、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)で管理している。AWSは日本企業としていち早く導入した。「どんな顧客がどんなものを食べているかといった情報が、一元管理できるようになった。今後は、顧客に合わせてスマホや店内のタッチパネルから、商品を提案することも可能になる」と清水執行役員は期待する。

 スシローは、17年9月期から3年間の中期経営計画で、国内で年間30~40店の出店を進める予定だ。

 「東北や北海道など人口当たりの店舗数が少ないエリアはまだある」と清水執行役員が話すように、今後はこの“空白地”をいかに埋めていくかが重要だ。関東に店舗が多いくら寿司や、店舗数1位の「はま寿司」といった競合と激しくぶつかることになるだろう。

北日本を中心に 出店余地はまだある
●人口100万人当たりのスシローの店舗数
注:2016年12月末現在の店舗数と15年国勢調査による人口に基づいて算出(写真=陶山 勉)