「レンタルが購入にもつながる」

 15年6月に約80だった取り扱いブランドは、現在300以上にまで増えた。今後は需要が多いバッグやアクセサリーなど服飾雑貨の展開を目指す。中長期では、紳士服や子供服なども視野に入れている。

 アパレル業界が不振から抜け出せない中、「洋服レンタルが普及すれば、各社の販売状況に悪影響を及ぼす」という見方もある。しかし、天沼CEOはこう反論する。「消費者は色々な洋服を試してみたいと思っているが、全て買うのは経済状況から考えて難しい。気軽に試せる機会を提供することで、購入にもつながっていくと考えている」

 実際に、エアークローゼットの持つ在庫管理、配送の仕組みを自社ブランドの販売促進に利用する動きもある。

 16年4月、大手セレクトショップのビームスが「オンライン専用ブランドの試着サービス」を約1カ月間の期間限定で行った。同社が若い女性向けに展開するブランド「カロリナグレイサー」の販路はインターネット通販だけしかない。そこで、エアークローゼットが構築したレンタル事業のためのプラットフォームを使い、試着サービスを提供することで販促につなげた。

天沼CEOはIT業界出身。他2名の取締役と共に、同社を立ち上げた
天沼CEOはIT業界出身。他2名の取締役と共に、同社を立ち上げた

 天沼CEOは「単なるレンタル事業だけで終わるつもりはない」と話す。目指すのは、「効率的なアパレル生産体制」の構築だ。

 アパレル産業のマーケティングの難しさは、「どんな顧客がどんな商品を気に入っているのか」をデータとして集めづらいという点にある。エアークローゼットは利用者のデータを蓄積しており、どんな属性の人がどんな服を好むのかを統計的に示すことができる。この情報をアパレル企業に提供することで、流行を的確にとらえた服や、より売れる服を作れるようにサポートするのが将来的な目標だ。

 海外ではITを駆使したオンラインSPA(製造小売業)やパーソナルスタイリストなどが市民権を獲得しつつある。エアークローゼットがレンタル市場の先に描く将来像は、不振の国内アパレル業界にとって一つの希望になるかもしれない。

(日経ビジネス2017年4月17日号より転載)