IT(情報技術)とアパレルを組み合わせ、「洋服のレンタル市場」を切り開く。洋服に対する消費者の好みをビッグデータ化し、効率的なアパレル生産のための情報サービスも目指す。

スタイリストが選んだ服
普段着用するサイズや好きな色などを登録すると、それを基にスタイリストが利用者に似合う服を3着選び、自宅に送ってくれる

 「普段はモノトーンのパンツルックが多いのですが、エアークローゼットから届いたレース付きのスカートを着て会社に行ったら、周囲に褒められました」。25歳の会社員、浅田亮子さん(仮名)はそう言って笑う。

 2015年2月にサービスを開始したエアークローゼットは、それまで消費者が「買う」のが当たり前だった洋服の市場に、「借りる」という選択肢を持ち込んだ。

 利用者はスマートフォンやパソコンを通じ、同社サイト上で普段着用しているサイズや、好きな洋服の種類、色などを登録する。その情報を基に、契約スタイリストが利用者に似合うと考えた3着を選ぶ。洋服は専用の箱に入れられ、ヤマト運輸によって利用者に届く仕組みだ。

クリーニング、送料は不要

 届いた洋服に返却期限はないため、好きなだけ着ることができる。飽きたら、到着時と同じ箱に入れてそのまま送り返せばいい。洗濯やクリーニングの必要はなく、送料も不要だ。

 料金は2種類ある。レギュラープランは月額9800円、レンタル回数が月1回に制限されるライトプランは6800円だ。届いた3着が気に入らなかった場合、レギュラープランなら無料で何度でも別の服に交換してもらえる。

 届いた洋服の感想をフィードバックすると、スタイリストはそれを参考に、より利用者に似合う服を選ぶよう努める。冒頭の浅田さんは1年前から同サービスを利用し、感想をこまめに送ってきた。今では「好みにピッタリ合った服や、自分では買わないと思ったが、着てみると周囲から褒められる服が届くようになった」と話す。

 エアークローゼットによれば、サービス開始前の事前登録数(無料登録含む)は約2万5000人だったが、17年2月までに約10万人まで会員数を伸ばしているという。

事業開始から2年で会員数10万人に
●エアークローゼットの会員数(無料登録含む)

 業容の拡大に合わせ、16年9月に物流企業の寺田倉庫(東京・品川)、クリーニング店「ホワイト急便」の中園ホールディングス(熊本市)と協力し、神奈川県に大型の物流倉庫を整備した。在庫管理から、回収後のクリーニング手続きまでを一貫して行える拠点だ。

 10万点以上ある洋服の1点ずつにタグを付けて管理することで、「この服がどんな人に、何回貸し出され、どのくらいの期間で返却されたか」といった情報を、細かく管理できる。

 利用者は借りた服を買い取ることもできるが、そこで役立つのがこの貸し出し履歴だ。レンタルの回数などから割引率を計算し、状態に見合った価格で購入できるようにしている。

 ファストファッションの登場以降、洋服の単価は下落傾向にある。そんな中で登場したレンタルサービスだが、購入した場合と比べた安さだけを売りにしているわけではないという。

 「妻の洋服の選び方を見ていて、いつも同じ店やブランドで、似たような服を買っていることに気付いた」。創業のきっかけについて、天沼聰CEO(最高経営責任者)はそう振り返る。

 自分では選ばないし、失敗が怖いから買おうとも思わないが、勇気を出して着たら似合う──。何度でも借り換えることができるサービスを通じて、そんな体験を提供する。いわばオンライン経由のパーソナルスタイリストになるというのが、同社の狙いの一つだ。