部品は「2000万台クラブ」

 トヨタや独フォルクスワーゲン、米ゼネラル・モーターズなど、年間販売台数が1000万台程度のメーカーは「1000万台クラブ」と呼ばれる。

 それに対し安形社長は「2000万台クラブ」という言葉をしきりに使う。トヨタ系の主要サプライヤーの部品が搭載されるクルマが2000万台程度販売されていることが由来である。

 シナジーが生まれ始めたジェイテクト。1社だけにとらわれず、トヨタ系部品各社の総力を結集すれば、生まれるシナジーは桁違いのはずだ。

 トヨタグループでは14年から、トランスミッションやシート、ブレーキなどの分野で重複する事業の整理・統合を進めている。10年前にジェイテクトやトヨタ紡織を生んだ再編を第1幕とすれば、現在の再編は第2幕。単なる「整理」に終わらせないためには、事業を超えたシナジーが必要になる。

 「この先は、また別の機会に」。安形社長はこう煙に巻いたが、企業単位を超えた連携構想があるのは明らかだ。

 ジェイテクトが10年掛かってようやく生み出したシナジー。その過程にこそ、トヨタグループがこの先進めようとしている再編や企業間連携のヒントがあるはずだ。

INTERVIEW
安形哲夫社長に聞く
タテとヨコの糸で事業を束ねる
(写真=早川 俊昭)
(写真=早川 俊昭)

 ステアリングやベアリング、工作機械を事業として持つことに関して、2013年に当社に来た時に違和感はなかった。トヨタ自動車から豊田自動織機の副社長になって、その後、当社に来た。織機のほうがもっともっといろんな事業を持っていて、そこで勉強したことがうちでも生きている。

 それが、タテとヨコの糸を編むということだ。タテの糸は事業。ここは事業本部長にきちっとやってもらう。社長がやることはヨコの糸で、コーポレート機能になる。

 社長に就任してずっと言っているのがファンダメンタルズの強化。まず、グローバル人事制度を導入した。連結従業員4万4000人のうち、海外現地スタッフは2万7000人。まずグループ各社の主要ポストを見える化し、次に地域を統合した。これからグローバルで賃金体系や評価体系を構築する。これをやらないと現地スタッフの育成もできないし、逆に育成したスタッフは流出してしまう。

 次が問題解決能力の強化。就任して初めての夏休みに全部署の方針に目を通したが、「これでよくマネジメントしているな」と思うものも正直あった。だから、月次でPDCAサイクルがきちっと回るように、研修などを大幅に強化した。

 他にも、システム開発投資の拡充や間接部門の業務改革……。就任当時にシステム開発投資の額を聞いて、あまりの少なさに椅子から転げ落ちそうになった(笑)。この辺をこの3年できちっとやって、財務面を含めて足元が固まってきた。

 もう一つのヨコの糸は、事業横断的な研究開発だ。例えば、 IoE(Internet of Everything、IoTに「ヒト」もつながるとの意味を含めた表現)はこれからうちの事業の柱になる。今年度もIoEに関してある程度まとまった開発費用をコーポレート部門として押さえている。タテの事業部門ではなかなか難しいソフトビジネスをしようと思っており、外部リソースを使いながらどうマネタイズするかを検討している。あと1年くらいで出口戦略を出すつもりだ。

 こうした横の糸は、私がやらなければいけないと思っている。仕組みだけじゃだめ。文化になるまでね。(談)

(日経ビジネス2017年4月3日号より転載)

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