ラインの工作機械が半分に

 デフのような複雑な部品の加工には、旋削や型押し加工、面取り、穴あけなど複数の工程がある。各工程に加え、部品の大きさや種類によって同じ工程でも別の機械が必要になる。こうした部品サイドの悩みに応じてジェイテクトの工作機械部門が考案したのがギアスカイビングセンターだ。部材加工のための回転軸とは異なる角度で刃具の回転軸を追加したもので、多くの加工が1台でできる。狭山工場では、1つのラインで10台必要だった工作機械が5台で済むという。

 これまでシナジーを生み出しにくかった2つの事業が、強みに生まれ変わりつつあるのだ。

 IoTによるスマート化は既に事業として動き出している。ある部品メーカー2社がジェイテクトのIoT機器を採用し、それぞれ生産性向上の効果を上げた。DMG森精機やファナックなど他の機械メーカーも一斉にIoTに取り組み始めているが、ジェイテクトは自社で検証ができるという独自の強みを持つ。

 さらにジェイテクトは、その先を見据える。「売り切りではなく、コンサルティングまで含めた新ビジネスを検討している。狙いは、IoTを使って分析までできる大企業のラインでも、IoTの効果を得にくい小規模なラインでもない。従業員数百人単位の中規模企業のラインだ」。安形社長はこう明かした。

 その真意は、ジェイテクトが持つもう一つの強みを踏まえたものだ。「トヨタの工場のライン制御を構築してきたラインビルダーは我々。IoTをトヨタ生産方式の中に位置付けるノウハウがある」。ジェイテクト幹部はこう言う。

 同社のライン制御装置は従来、トヨタ以外への外販が禁じられていた。トヨタの「系列企業強化」の意向もあって、その囲い込みが解けたのは09年。以降、ジェイテクトは制御装置を使ったビジネスを温めてきた。

 ドイツ政府が13年、「インダストリー4.0」構想を打ち出した時、ジェイテクト工作機械部門のエンジニアの多くは「我々は既にやっている」と感じた。「トヨタの車両工場は既につながっていた」(安形社長)からだ。こうしたノウハウを、コンサルティング事業ならカネに換えることができる。

異なる事業間のシナジーが生まれた
●ジェイテクトの3事業の関係性
<span class="nl_b">異なる事業間のシナジーが生まれた</span><br /><span class="nl">●ジェイテクトの3事業の関係性</span>
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シナジー①
自動運転用のステアリング開発
<span class="sn1">シナジー①<br />自動運転用のステアリング開発</span>
ジェイテクトが開発中の「SBW(ステア・バイ・ワイヤ)」を搭載した試作車。光洋精工と豊田工機のそれぞれの強みがSBWでは生きる(写真=菅野 勝男)
シナジー②
自社製IoT機器を自社で実験
<span class="sn2">シナジー②<br />自社製IoT機器を自社で実験</span>
工作機械部門が開発したIoT機器を自社工場に導入してフィードバック(写真=菅野 勝男)
シナジー③
世界初の工作機械を量産
<span class="sn2">シナジー③<br />世界初の工作機械を量産</span>
ラインの工作機械を半減させる「スカイビングセンター」。写真左が製造する部品で、右が刃具。異なる角度でぶつけることで、えぐり取るような加工が可能(写真=早川 俊昭)

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