SBWは自動運転でさらなる効果を発揮する。自動運転車を手放しで運転している映像をご覧になったことがあるだろうか。ハンドルが自動でクルクルと回転する。しかし、本来、ハンドルが勝手に回転するのは危険だ。手を挟んだらけがをする可能性があり、手が当たってハンドル操作に影響を与えれば、自動運転車が予測したコースから外れる恐れもある。SBWならばタイヤだけを動かし、ハンドルは回転させないことができる。

自動運転中はハンドル格納も

 「物理的につないでいる場合は、どうしても金属の“しなり”が発生するため、ハンドルを切ってからタイヤが動くまでコンマ数秒の遅れが出る」(ジェイテクト幹部)。電子制御なら遅れがほぼないため、自動運転でクルマを総合的に制御するのに向いている。

 シャフトがなくなるので、自動運転でハンドルを使わない場合にはダッシュボード内部に格納することもできる。従来のステアリングよりレイアウトの自由度が上がるため、バッテリーを敷き詰めるスペースが必要なEV(電気自動車)でも有利だ。

 これまで自動運転で注目を集めたのはセンサーなど「認知」「判断」の分野。ジェイテクトは「操作」に関して着々と技術を開発しているのだ。

 SBWの開発に、ジェイテクトならではのシナジーが隠れている。

 ジェイテクトは光洋精工と豊田工機が06年に合併して誕生した。2社ともにトヨタグループで、光洋精工は軸受けメーカーであり、豊田工機は、トヨタ創業者の豊田喜一郎氏が「国産自動車を造るには国産機械が必須」と1941年に創業した工作機械メーカーである。

 光洋は得意だったベアリングを使った製品の一つとして、豊田工機は工作機械1本足からの脱却という観点で、ともに60年代からステアリングを作り始めた。光洋が経営不振に陥り80年にトヨタの出資を受けてグループ入りすると、系列に2つのステアリングメーカーが共存することになった。

 トヨタは2000年代前半に、第1次ともいえる系列再編に着手して2社を合併させた。豊田紡織とアラコ、タカニチを統合してトヨタ紡織が誕生したのもこのころだ。

2社の合併で3事業が併存する形に
●ジェイテクトの歴史
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●ジェイテクトの事業別売上高比率
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●ジェイテクトの業績推移
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 合併によって売上高約1兆円の巨大部品メーカーとなったものの、べアリングと工作機械、ステアリングという3事業を抱えることになった。

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