「もの作りに定評」どう生かす

 中期経営計画では、商業施設など新たな販路の拡大や、EC(電子商取引)専用ブランドの立ち上げ、M&A強化などを挙げた。1月に就任したばかりの岩田功社長は、商業施設への出店について「過去何度か挑戦をして、ノウハウを得て、失敗の経験もある。新しい商業施設にフィットしたものを展開していけるはずだ」と話した。

岩田新社長は2月に経営計画を発表した(写真=的野 弘路)

 さらに、「MD(商品政策)の改革も進めて、収益性を考えた新しい切り口のブランド開発もしていく」とも強調した。サプライチェーンを見直し、商品原価を低減できるかが問われるだろう。EC専用ブランドは、価格を現状の2~3割程度抑えたものを検討する方針だ。

 M&Aについても対象企業を検討しているという。「ECの事業者やプラットフォーマー、20~30代の顧客層を抱えているところ、アパレル以外の雑貨など、幅広く考えている」と話した。

 コンサルティング会社、ローランド・ベルガーの福田稔プリンシパルは「現実的な数字でコスト削減を進めていることは見えた」と評価する一方、「18年に黒字化するとした見通しの根拠は不十分だった。具体的なブランド名や施策が見えず、どこに向かうのかが分からない」と指摘する。中計には近い将来に売上高を現状より100億円以上多い、800億円に伸ばすと記された。岩田社長は「800億円のうち百貨店が半分を切ることはない」と話しており、百貨店には引き続き期待せざるを得ない。

 今でも百貨店幹部は口をそろえて三陽商会の、もの作りの姿勢を評価する。そうであれば、中計であえて「総合ファッションカンパニー」と銘打って、増収目標を公表する必要はなかったかもしれない。「ほんとうにいいものをつくろう。」という標語を消費者目線でビジネスに生かせれば、再起のチャンスはあるはずだ。

(日経ビジネス2017年3月13日号より転載)