これらは、実際にウェブ上で会員同士が議論した一部を抜粋したものだ。Wemakeでは、集まった提案に対して、会員が消費者として提案を評価したり、次々に「改善」のアドバイスをしたりする。機能面だけでなく、量産化する時の課題など生産面での意見も飛び交う。この改善プロセスに、お題を課した企業の商品開発担当者も参加する。

 一般消費者が、メーカー担当者と対等に議論する。これこそがWemakeの最大の特徴だ。

 コクヨの小林彰吾・開発1グループリーダーはこう言う。「インハウスの開発担当者だけで議論するのでもなく、アイデアを外部から集めるだけのコンペでもない。第三者と議論しながらモノ作りができる。この点に引かれてサービスを利用することにした。試作品を見て、質の高さに驚いている」。他の企業も、第三者を交えた商品開発の新しい手法として、Wemakeを利用しているのだ。

 会員からの評価によって提案を5~10に厳選。その後、メーカー担当者などとの改善プロセスを続け、提案を一つに絞り込んでいく。このプロセスには、会員の積極的な参加が欠かせない。そのためのシカケがある。

貢献に応じて報奨金

 Wemakeを運営するAは、企業からのサービス利用料を収入として得ている。プロジェクトの運営費用として固定料金契約か売り上げに応じたロイヤルティー契約を結ぶ。そこから利用料を抜いたものを、「報奨金」としてコミュニティーに分配する。

 例えば報奨金が100万円の場合、コンペなら最優秀案に100万円全額を与えてもおかしくない。Wemakeでは、半分の50万円を最終1案の提案者に分配。もう半分の50万円を、他のコミュニティーのメンバーで分ける。

 分配の割合は、商品開発の「貢献度」によって決まる。例えば提案に対して評価した場合は2ポイント、改善の投稿をした場合は2ポイントなど、貢献に応じてポイントがもらえる仕組みで、50万円を会員のポイント数に応じて分配する。

 この仕組みが好評で、会員はうなぎ登りで増えている。会員登録は無料。誰でも氏名などを入力すればコミュニティーの一員になれる。Aの山田歩社長は、「当社のサービスはコミュニティー重視で進めている。報奨金だけでなく、知的財産権の保護もしっかりやっている。1万人の会員は熱い人たちばかりで、自分の技術やアイデアを本業以外で役立てようとしている」と話す。

アイデアはうなぎ登りで増えている
●提案された商品コンセプト数の推移

 Wemakeが今のビジネスモデルで立ち上がったのは2015年3月。Aはサービス開始から1年で、約6000万円を売り上げた。この経験を基に、3月中に新サービスを投入する予定だ。

 新サービスは、大企業からの課題に答えるのではなく、1万人のアイデアと中小企業の技術をウェブ上でマッチングするもの。Wemakeと同様、アイデアに対してコミュニティー内で議論をして提案をブラッシュアップさせる仕組みは取り入れる予定だ。

 企業内部だけで製品を開発する時代は終わった。Wemakeで提案されたアイデアや、提案に対する消費者からのアドバイスの応酬は、モノ作りの手法が新時代に入ったことを示している。

(日経ビジネス2016年3月21日号より転載)