ライン材のほか、チョークやクライミング用の滑り止め粉も販売している(写真=菅 敏一)

 卵の殻を粉砕した白い粉の使い道として下社長が最初に目をつけたのが白線に使うライン材だった。小中学校などの学校の体育や運動会で使われ、安全性や環境にやさしいといった特徴が受け入れられやすいと考えたからだ。卵の殻は、廃棄物である一方、土壌改良材としても使われ、天然芝のグラウンドで使っても芝が枯れることがない。

 下社長がライン材に狙いを定めたのは収益面の理由もある。全国の学校で使われる消耗品で需要が安定している。1袋20kgで600?800円で販売しており、「卸売業者を介して販売しても十分な利益を確保できる。全国の学校からグラウンドがなくならない限り、需要はある」(下社長)。

DATA
グリーンテクノ21
2003年設立
本社 佐賀県佐賀市鍋島町大字蛎久1539-1
資本金 7875万円
社長 下 浩史
売上高 2億9000万円
(2018年1月期)
従業員数 20人
事業内容 卵の殻の再生処理ならびに再生品の販売
卵の殻の回収量は年々増加中
●グリーンテクノ21の卵の殻のリサイクル量

 大量に卵を消費する食品メーカーにとっても、グリーンテクノ21と組むメリットは大きい。

 「まさか産業廃棄物を買い取ってくれるとは思いもしなかった」。食品メーカーのイフジ産業福岡事業部の近藤聡事業部長は笑顔でこう語る。同社は茶碗蒸しやケーキなどに使う液状の卵を業務用に販売。飲食業界が人手不足に苦しむ中、卵の殻を割る手間が省けることが支持され、需要が増えている。

 そんな同社が困っていたのが卵の殻の処理。使い道がなく食品産業廃棄物として捨てるため、費用が年間約4000万円ほどかかっていた。

 そこにグリーンテクノ21の下社長が現れ、「卵の殻を買い取らせてもらえませんか」と提案。1kg当たり1~5円で買い取るというのだ。「お金を払って処理している産廃をわざわざ買い取ってくれるというのは渡りに船だった」(近藤事業部長)

 イフジ産業と同じような悩みを抱える食品加工業者は多い。産業廃棄物の処分価格は年々上がっている。「10年前よりも6割ほど高い」(下社長)。しかも材料として仕入れる鶏卵の価格も上昇傾向にある。指標となるJA全農たまごの平均価格は、12年に1kg当たり180円弱(東京地区、Mサイズ)だったが、14~17年は200~230円という高値圏で推移してきた。

 だからこそグリーンテクノ21と組んでコストを削減しようとする食品メーカーが増えている。提携企業は卵の殻を処理する機器の月額使用料と電気代を負担する必要があるが、それを差し引いても、イフジ産業では年間3000万円のコストを削減できたという。

クライミング用にも参入

 下社長は、卵の殻の利用分野を白線以外にも広げている。

 その一つがピッチャーが滑り止めに使う「ロジンバッグ」。卵の殻に松やにを加えて作った製品は、肌に優しく、指先の肌荒れを防ぐ効果もあるという。さらに18年にはクライミング(壁のぼり)用の滑り止め粉も発売した。

 新規参入する分野はニッチ市場に限っている。「競争相手が少なくて安定的な需要が見込める市場。それが参入の条件だ」。下社長はこう説明する。

 卵の殻で得たノウハウを、他の産業廃棄物に応用することも視野に入れる。

 「今、ゴミとして捨てられているものにも、卵の殻のように有効活用できる可能性がある。リサイクルを推進し、地球環境が抱える問題を解決したい」。下社長が掲げる目標は大きい。