値の張る大型ショベルには搭載されていても、安価でサブシリーズ扱いのミニショベルには搭載されていない機能があることは珍しくなかった。だがそれは供給者の論理。日々乗りこなす顧客の視点に立てば、大型だろうとミニだろうと関係なく役に立つ機能は欲しい。価格が少し高くなってもだ。

 竹内製作所はミニショベルとしては初めての機能をこれでもかと搭載する戦略を取った。例えば、パーキングブレーキや、乗員が疲れないように肘を台につけたまま操縦できる「ジョイスティックレバー」。また足回り部分の横幅を伸縮可能にすることで、狭い路地にも入っていけるようにした。

 さらには内部の油圧機器などを整備しやすいように運転席部分が上に跳ね上がる「フロアアップ機構」、ショベルの腕(ブーム)の根元部分を左右にスライドできる「オフセットブーム機構」なども貪欲に取り入れた。

 大型ショベルに劣らない機能を惜しみなく搭載し、既存のミニショベルの先入観を良い意味で裏切ることで、目の肥えた顧客が評価。品質への信頼やブランドを確立するのに成功した。

 欧米のユーザーはいつしか、同社のミニショベルにこんな愛称をつけた。「建機のベンツ」。品質と性能の高さを、独ダイムラーの乗用車の最高級ブランドになぞらえた。

 竹内製作所の製品価格は今も競合品より1割程度高い。競合品との差を認め続ける顧客の厚い信頼が背景にある。この結果、株主が重視するROE(株主資本利益率)もメーカーとして比較的高い水準である2ケタ台を維持できている。

徹底したこだわりで一気に顧客の信頼を勝ち取った
●竹内製作所が搭載したミニショベルとして「世界初」の機能
1971年 ● 世界初のミニショベルを開発(下の写真)。
● ショベルの腕(ブーム)を左右にスイングできる機能を当初から搭載
今や住宅建設や水道工事などに必須の存在に(写真=林 安直)
1985 ● パーキングブレーキ機能を搭載。坂道などでの安全性向上
1986 ● 肘をつけたまま操縦できる「ジョイスティックレバー」を搭載。肘が上がった状態で操縦するスティックタイプに比べ、乗員の疲労を軽減
● 不整地での作業に強い、無限軌道タイプの「クローラーローダー」を世界で初めて開発。ミニショベルに次ぐ品ぞろえに成長
1988 ● 足回りの幅を狭くできる「クローラー幅伸縮機構」を搭載。狭い現場で動きやすく
1989 ● 油圧機器などのメンテナンスがしやすいよう、運転席部分を跳ね上げる「フロアアップ機構」を搭載。従来は運転席部分をつり上げて外すなど手間がかかっていた
● 運転席部分の安全性を大型ショベル並みに確保。横転時や落下物の衝撃などから乗員を保護
1998 ● ブームの根元部分を左右にスライドできる「オフセットブーム機構」を搭載。可動域が広がり、きめ細かな作業がしやすく