コインロッカー代わりに、街の様々な店舗で荷物を預かるサービスを展開。大きな荷物を抱えて移動する旅行者をコインロッカー探しのストレスから解放する。

(日経ビジネス2018年3月19日号より転載)

一目で分かる預かり証
ツタヤの店員が荷物を撮影。写真付きの預かり証が即座にメールで届く。返却時も荷物を確認しやすく効率的な作業が可能
(写真=北山 宏一)

 「明日まで2日間、スーツケースを預ける。これから温泉に行ってくるよ」。2月の平日、東京・新宿駅近くのツタヤの店舗に現れたのは香港から2度目の訪日観光中という20代のカップル。かさばるスーツケースをカウンターで店員に預けると、身の回り品だけ抱え、足取りも軽やかに雑踏へ消えていった。

 彼らが利用したのはecbo(エクボ)が手掛ける会員制の荷物預かりサービス。新宿界隈では買い物や東京観光はもちろん、多摩方面へのミニ登山などでの利用も少なくない。

 口コミや主要駅でのチラシ、外国人向けの媒体などで認知度が向上するにつれ、顧客層が拡大。現在、70を超える国の人が会員登録しており、利用の7割程度を外国人が占める。

遊休スペースで副収入

 サービスの仕組みはこうだ。エクボは荷物を預かることのできる遊休スペースのある店舗と、逆に預けたい個人をインターネットで仲介する、一種のシェアリングサービス。こうした荷物預かりサービスを本格展開している企業は他にないという。

 荷物や利用客の安全を考慮し、預け先として登録が可能なのはエクボの審査基準を満たした事業所のみ。例えば営業時間中は常に人の目があり、開かれた空間であるBtoC(消費者向け)事業を手掛ける店舗や法人が対象となる。こうした業態は利便性の良い場所にあることも多い。トラブルを避けるため、個人宅は対象外としている。

 店舗側のメリットは主に2つ。まず副収入の獲得だ。1日当たりスーツケースサイズ(最大辺が45cm以上)1個で600円、それ未満のバッグサイズ1個で300円という預かり代金をエクボと預かり先が半々ずつ分け合う。最近はスーツケースサイズとしてベビーカーや楽器などを預ける巧者もいる。

 2つ目は集客効果だ。業種にもよるが、荷物の受け渡しついでに、そこで買い物や飲食をする利用客も少なくない。預かり先の一つ、池袋のマンガ喫茶ではこの副収入と集客効果によって月に売り上げが15万円程度増えたという。冒頭のツタヤ担当者も「店舗のバックスペースにスーツケースサイズだと5個分の場所を確保しているが、常にフル稼働に近い。もっと場所を増やしたい」と話す。