29ONでは食材の質の高さだけでなく、調理や接客にも工夫を凝らしている。例えば調理では保存バッグを使い、部位ごとに最適な温度を保って6時間以上加熱する「真空低温調理」を導入。料理の合間には、その日に出す肉を紹介する時間を設ける。食材の由来や飼育法などのうんちくをスタッフが来店客に説明する。

 都内在住の小澤美希さんは昨年10月に29ONの会員となってから、今年1月までの4カ月間で既に10回利用した。「低温調理した肉はさっぱりして食べやすく、肉の紹介話も面白い。つい足を運んでしまう」と話す。店舗では2カ月先の予約まで受け付けるが、すぐに埋まるという。

高梨社長は会員制サービスを導入し、収益基盤が安定した飲食店の運営を広げる(写真=陶山 勉)

 favyは2015年に設立。創業者の高梨巧社長は当初、飲食サイトの運営や飲食店のマーケティング支援会社として立ち上げた。事業領域を広げるため、飲食店の運営にも乗り出した。

 実家の飲食店が経営に苦労したのを間近で見てきた経験から、収益基盤を安定させる仕組み作りが欠かせないとの問題意識を持っていたという。「定額の会員制にすることで、ある程度安定した収入を得つつ、コストも削減できると考えた」(高梨社長)。

 favyにIT企業のほか、外食企業の出身者が多く集まったことも、飲食店の運営を後押しした。その一人、米山健一郎取締役は、焼肉チェーン「牛角」を運営するレインズインターナショナルなどを経てfavyに加わった。前職での経験や人脈を生かし、店舗運営と、東京ビーフをはじめとする高級食材の調達に奔走する。