出荷されず廃棄される規格外野菜などの自然素材を使ったクレヨンを開発し、人気を集める。本拠は青森。地方の可能性を引き出す新規事業として全国的に注目を集め、海外展開も進める。

(日経ビジネス2018年2月26日号より転載)

地元の野菜を有効利用
青森県の農家などから、規格外品や、加工食品などを作る際に出る残りかすなどを入手。自然由来の色素原料として利用する

 「きゃべつ」「ごぼう」「とうもろこし」「りんご」「むらさきいも」……。クレヨンのラベルには、赤や緑といった色ではなく、野菜の名前が書かれている。一つ手に取ってみると、ほのかに野菜のにおいがする。

 青森県のベンチャー企業mizuiroが販売する「おやさいクレヨン」は、形や大きさにより規格外とされ、出荷されない野菜を色素原料として活用する。石油由来の顔料を配合する一般的なクレヨンに比べ、淡い、自然で優しい色合いが出せるのが特徴だ。油分は米由来のワックスを使う。全て食品を原料としているため、子どもが誤ってなめたりしても安全という。

ホウレンソウのゆで汁がヒント

 2014年に発売開始後、ギフト需要などをつかみ、3年間で約10万セットを売り上げた。子ども向けの文具としては異例のヒットだ。16年には、内閣府などが後援する「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー 地方創生賞」を受賞。地方活性化につながる新規事業の商品として全国に認められた。

 青森駅から徒歩5分ほど、アーケード街の2階にmizuiroの事務所はある。地元青森で生まれ育った木村尚子社長は「事業を始めるまでは、文具開発はまったくの素人だった」と言う。中高と美術部に所属し、専門学校を卒業後、デザイン事務所に勤務。その後、離婚を経験し、「一人で娘を育てながら、遅くまで会社で残業するのは難しい」と考え、12年にフリーデザイナーとして独立。広告チラシの作成やウェブデザインなど手掛けていた。

 仕事で地元企業との付き合いを深める中で、海と山に囲まれ、自然豊かな青森の魅力を発信し、事業化していく方法は無いか、と思いを巡らすようになった。