平均年収は780万円

 一方、企業の側にとっても、技術者のスキルや希望をギークスが詳細に把握していること、モチベーションを高めるサポート体制を敷いていることが大きなメリットとなる。需給のミスマッチを防ぐことで、プロジェクトごとに最適な技術者に安心して仕事を任せられる上、開発体制やコストのコントロールも柔軟にできるためだ。

 「フリーランスに絞って事業展開してきたのが我々の強み。産業構造の変化が追い風になっている」。ギークスの曽根原稔人社長はこう語る。東証ジャスダックに上場するインターネット企業のクルーズを創業した人物だ。IT人材事業は同社の一事業として2002年に開始。2007年にギークスの前身企業を設立し、2009年に独立させた。

「雇用についての根本的な議論を深める必要がある」と指摘する曽根原社長(写真=陶山 勉)

 当初はメーカーや金融機関のシステム開発などへの技術者紹介が主力だった。しかし2008年秋のリーマンショックを境に、こうした大手企業からの受注が急減。顧客開拓をネット企業に切り替えるなど転換を図った。その後、ネット業界がフリーランスを積極活用する環境が整い、現在の規模にまで事業を拡大させてきた。

 手厚い支援がフリーランスの技術者に支持され、多数の優秀な人材が集まっている。ギークスに登録する技術者の平均年収は約780万円。業界平均(2015年の厚生労働省の調査でプログラマーが408万円、システムエンジニアは592万円)を大きく上回る。フリーランスの技術者がベンチャー企業のCTO(最高技術責任者)として招かれるケースも出てきているという。

 2016年秋には経済産業省がフリーランスをはじめとする多様な働き方についての研究会を発足させるなど、国も積極的な活用を推進する構え。ギークスの成功を受け、競合のサービスも続々登場して競争は激化している。

 曽根原社長は「フリーランスの支援が産業にとりプラスになるのは確か。ただ、雇用の流動性をどう考えるかとか、雇用に関する法律を時代に合わせてどう変えていくべきかとか、より根本的な議論も深める必要がある」と指摘する。今後も業界の変化を先取りし、先頭を走り続ける考えだ。