INTERVIEW
星﨑尚彦CEOに聞く
「反論してくる社員」はうれしい
高田馬場本店の最新版の看板には「アイケアステーション」の文字
店内は全体的に広々
検眼前にリラクゼーションで目の疲れをとり、検査の精 度を上げる
検眼の項目は約40。 技術力のあるスタッフが対応

 トップに就任したとき、「好かれるために来たんじゃない」と社内ではっきり言いました。倒産寸前の会社を立て直すのですから、生半可な気持ちではできないと思ったからです。最初は反発もありましたが、この4年、社員はよくついてきてくれました。

 今日着ているこのパーカー、よく見ると「ビジョナリーホールディングス」のロゴが入っています。これを毎日着て、ほとんど現場で仕事をしています。スーツを着て本社にこもったりはしません。だからこそ、社員が私の誕生日に、ロゴ入りのバッグをプレゼントしてくれるようになりました。

 特別な手法で経営を立て直しているわけではありません。高速でPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回しているだけです。キャラバンでも修正点はすぐに直します。単純なことに見えるかもしれませんが、常に即断即決というのは休む暇もなくて大変ですね(笑)。

 私は34歳で商社を去り、複数の企業で社長としての経験を積みました。小売業が中心です。だから店舗の仕事や現場社員の気持ちがよく分かります。接する機会が多いため、ほぼ全ての社員を覚えています。全国に370以上ある店舗も、立地や周辺環境を頭に入れています。

 全ては社員に意味のある問いかけをし、自分で創意工夫できる人材を育てたいからです。私の質問に対して、最初は「分かりません」「できません」という返事ばかりでしたが、今では変化を感じています。例えば、元日の初売りを全店でやろうと呼びかけたときに「データから考えて、うちの店ではやる意味がない」と反論する店長がいました。明確な理由を基に自分の意見を言ってくれたのは、とてもうれしかった。

 小売業は販売の最前線に立つ社員の意識がそのまま売り上げに直結します。実際、そういう店長がいる店は、すごく業績がいいんです。

(写真=都築 雅人)

 昨年、持ち株会社ビジョナリーホールディングスを設立し、メガネスーパーはその子会社にしました。M&A専門の会社などを設立し、事業拡大を図っています。眼鏡業界全体が縮小しているとの指摘もありますが、自分たちで単価を下げて勝手に小さくなっただけです。高齢化が進めば、眼鏡に価格以外の価値を求める人がますます増えていくので、逆にチャンスだと思います。

 私がいつまでもトップでいるわけにはいきません。私の父親も別の会社で社長を務めていましたが、55歳を過ぎたころから経営者として衰えてきたように感じました。

 会社の再生は、そこに骨を埋める覚悟がないとできません。以前の会社は自分の意に反して辞めていますが、当社には愛着もあり、骨を埋めたいと考えています。今51歳ですから、55歳まであと5年もないですが、それまでに後継となる人材が出てくるよう、育成に力を入れていきます。(談)