トップ主催の大ツアー、改善点はその場で正す
100人で店舗総点検、星﨑キャラバンに密着
14:00
千葉県 ペリエ稲毛店
コンタクトレンズコーナーを直す担当者たち(写真=竹井 俊晴)
店内では大勢が一斉に作業する(写真=竹井 俊晴)
自ら自転車でチラシを配る星﨑氏。1時間程度かけて回る(写真=竹井 俊晴)
16:00
移動中
星﨑氏が運転し、主要メンバーが集まる「1号車」。車内はさながら幹部会議(写真=竹井 俊晴)
17:00
秋葉原駅前店
店舗開発の担当者自ら、看板の配置換え(写真=竹井 俊晴)
星﨑氏と小石川店長との面談。現場の声を拾い上げる(写真=竹井 俊晴)
18:00
 

 星﨑氏が率い、全国の店舗を直接指導して回るキャラバン隊。2014年には数人で始めたが、今では本社や全国の店舗から100人を超える従業員が参加する。1日4店舗を回る過密なスケジュール。記者は3店目から密着した。

 朝7時に集合したキャラバン隊は、千葉市内の2店を回り、午後2時にペリエ稲毛店に到着。なだれ込むキャラバン隊を、道行く人が不思議そうな表情で見つめる。

 店内では、10人ほどが商品の陳列直しやポスターの張り替えなどに取りかかる。以前は店長やエリアマネジャーによって陳列の仕方などにばらつきがあったが、キャラバンでは統一。本社のマーケティングの担当者や、キャラバン隊で多くの店舗を見てきた社員が知識を生かすことで、最適な陳列が実現する。その間にも、IT部門の社員はPOSレジが正常に作動するかを確認し、検眼部門の担当者は検眼機器や従業員の検眼技術をチェックする。

 一方、店外のメンバーは、店頭での顧客の呼び込みや近隣住宅へのチラシ配りに精を出す。星﨑氏も自ら自転車に乗り、担当地域にチラシを配りに行く。道すがら心がけているのは、地域の変化を見逃さないこと。ショッピングセンターやファストフード店の出店は、住民の行動範囲や経路を変えるからだ。街の変化を敏感に感じ取り、必要とあれば店舗の立地変更も検討する。キャラバンの継続は、全国370店ごとの力のばらつきをなくして、営業力を底上げするという点で効果は大きいだろう。

 「私は、チラシの回収率で全国トップ5に入るんですよ」と星﨑氏は笑う。回収率とは、チラシを受け取った人が商品を購入する率のことだ。各家庭に配るときに「郵便受けからはみ出さないようにきちんと入れること」(星﨑氏)がコツという。チラシを受け取った住民が好感を持ってくれるようなこまやかな気遣いを忘れない。

 店内、店外の全ての作業を2時間きっかりで終えると、持参した脚立などを荷台に詰め込み、10台のマイクロバスに分かれ、店を後にした。

 星﨑氏はマイクロバスも自ら運転する。星﨑氏が運転するバスは、通称「1号車」。本社の各部門の責任者やエリアマネジャーなど、主要メンバー約20人がそろう。

 移動中も休憩はない。「例のプロジェクト、見積もり出した?」。運転席からの問いかけが車内に響く。担当者の返答に納得がいかなければ、何度でも「なぜ」を繰り返す。いったん答えが出れば早速、行動開始だ。担当者はその場で電話をかけ、見積もりを依頼した。

 「主要メンバーがそろっているから、車内が即席の会議室になる」(星﨑氏)。車内は、幹部候補を鍛える場でもある。

 すっかり日が落ち雨もパラパラと降る中、最後の店舗である秋葉原駅前店に到着。星﨑氏はすぐに店舗の従業員と面談を始める。キャラバンでは全従業員とそれぞれ10分ほど面談している。

 「前に面談したときは、駒沢大学前店にいたよね? ここの仕事はどう? 困っていることはない?」。星﨑氏は若手社員に問いかける。「お客さんに商品数が少ないと言われる。什器を変えた方がいいかも」(若手社員)。社員の顔と名前を覚え、以前の勤務店舗や家族構成まで忘れない。「キャラバンも4周目に入っているし、会議でもよく会うから自然と覚える」と星﨑氏は言うが、「自分のことを覚えていてくれる」という驚きが社員の心を開かせる。社長が現場と密につながることで、本社が見逃しがちな情報も吸い上げられる。

 店外では、店舗開発の担当者が看板の配置を変えていた。「今の位置だと、コンタクトレンズの印象が強すぎる」という同店の小石川宣店長の指摘からだ。

 「今度、高所作業車も買おうと思っているんです。免許も何人かの社員に取得してもらう予定」(星﨑氏)。本社の全部門がキャラバン隊に参加しているため、その場で改善。自前ならお金もかからない。

 午後7時に作業終了。キャラバン隊は再びマイクロバスに乗り、高田馬場へ。倉庫に荷物を戻し、ようやく1日が終わった。

 「トップ自ら、社員に常に問いかけ続ける」。この方針にそって日常の業務を動かすことにしたのだ。それを象徴するのが、通称「キャラバン」と呼ばれる取り組み(詳細は上部のルポを参照)。週の後半に、星﨑氏自らが社員を率いて全国の店を順番に回り、売り場改善などを直接指導する。店舗は約370あるが、現在は4巡目になっている。本社の各部門から最低1人以上が集められるが、それ以外にも希望する社員は自由に参加でき、100人を超えることもある。

 100人ものスタッフが店舗に押し掛けるさまはまるで“襲撃”。のぼりの立て方や商品陳列などを指導する。