「お荷物技術」がつかんだ市場

主力商品を変えて持続成長
●日東電工の連結売上高と営業利益
注:2013年度以降は国際会計基準
ニッチトップ製品が業績をけん引
●代表的な製品
液晶パネル向け偏光板(上)とスマホ向け透明導電性フィルム(中)、自動車向け補強材(下)。10月下旬、27カ国・地域の社員が大阪に集まった(左)

 1970~80年代の工業用両面テープ、90年代のハードディスク向け部材と、主力製品を時代に応じて変えてきた日東電工。その多くは、需要を先取りしたニッチ製品だった。近年で象徴的な事例が、グローバルでトップシェアを握るITOフィルムだ。指で触れると電気の流れが変わる性質があり、スマホのタッチ操作を可能にしている。

 いずれもニッチ製品だけに、一つひとつの市場は、最初は大きくない。が、同社の場合、一番乗りで参入し高シェアを確保するため、それぞれの事業の収益力はおのずと高くなる。そんな「ニッチトップ製品」を育てることで、日東電工は1918年の創業以来、1世紀にわたって安定成長を続けてきた。

 ではなぜ、同社はこうしたニッチトップ製品を高頻度で探り当てることができるのか。それは、どこよりも顧客に入り込み、超長期視点で製品開発に臨んでいるからにほかならない。

 例えば、ITOフィルムに使われている「酸化物を薄く均等にコーティングする技術」は、30年以上前から研究開発が進んでおり、80年代には製品化していた。だが、当時は需要がほとんどなく、「事業はずっと赤字だった」(飯塚幸宏・情報機能材料事業部門長)。

「いつか需要が出てくる」

 それでも代々の担当技術者は「いつかは需要が出てくる」と用途の開拓を続けた。会社側も耐えた。「お客さんのニーズの半歩先にあると思える技術は残す。大きくは投資できないが、苗を枯らすようなことはしない」(山下潤・経営戦略統括部長)のが原則だからだ。

 ITOフィルムはカラオケの端末などに細々と使われてきたが、当初はまさにニッチ市場。それが2000年代に入り、スマホの登場により風向きが一変した。競合に先駆け、いち早くITOフィルムを液晶パネルメーカーに提供し、市場を席巻することになる。