ロードバイクやマウンテンバイクなど、高価格な自転車を専門に買い取って販売している。健康志向を背景にした自転車市場拡大の可能性を見込み、高額自転車の普及を後押しする。

(日経ビジネス2018年1月29日号より転載)

高級自転車乗り放題も
高級自転車乗り放題も
中古自転車の買い取り販売に続き、月額定額の乗り放題サービスを開始。女性人気の高いミニベロなどをそろえる
<span class="fontBold">買い取った自転車は社内で認定した査定士が安全性をチェックする</span>(写真=都築 雅人)
買い取った自転車は社内で認定した査定士が安全性をチェックする(写真=都築 雅人)

 細いタイヤにU字型のドロップハンドル。高い位置のサドル。停車時に車体を支えるスタンドさえ取り払って、スピードを追求する自転車がロードバイクだ。さっそうと走る姿を街などで見かけて、乗ってみたいと思った人もいるだろう。そんなロードバイクやマウンテンバイクといったスポーツタイプの自転車を中心に買い取り・販売をしているのがちゃりカンパニー(さいたま市)だ。

 扱う自転車は、中古にもかかわらず数万~数十万円と高額だ。それでも販売は右肩上がりで、2014年8月期に1億2000万円だった売上高は17年8月期に9億5000万円まで膨らんだ。直営店舗とフランチャイズ合わせて21店舗を展開。ネット販売も組み合わせて販路を広げている。自転車を買い取る場合は、まず電話やインターネットで車種などを確認し仮査定をしたうえで、店頭に持ち込んでもらう。出張買い取りや宅配買い取りの仕組みもある。

 スポーツ自転車に集中した中古販売企業は珍しい。競合となるのはネット上のフリーマーケットだ。商品の売り出しから発送まで個人が行うネット上のフリマに比べ、ちゃりカンパニーでは買い取りや査定を行うため、その分販売価格は割高になる。だが、むしろそういった手間の部分に同社ならではの付加価値が秘められている。

 ネット上のフリマは出品のハードルが低いだけに、示される情報が乏しい場合があり、買う側には商品の状態が分かりにくい。スポーツ自転車は時速数十kmというスピードを出せるため、部品の欠陥は命に関わる。車体の骨組みにあたるフレームにヒビが入っていたり、ブレーキが不調だったりしても、出品者が気づかずに売ってしまうケースも十分考えられる。

 これまで中古自転車の安全性に関する十分な基準がなかったと考えるちゃりカンパニーは、独自に安全性チェックの仕組みを作り、さらに社内のテストに合格した従業員を査定士として認定している。査定士は超音波を使った機器で肉眼で見えづらい欠陥まで見つけ出すほか、偽ブランドも見分ける。安全性が確保された正規品だと判断できた自転車だけを販売している。

次ページ ブームの終わり見据えて新事業