スーパーやネット通販の広がりで多くが姿を消した街の青果店。だが、そこに商機が眠っていた。緻密な値付けや利益計算に基づいて、多様な仕入れルートを駆使しながらチェーン化するノウハウが強みだ。

(日経ビジネス2018年2月12日号より転載)

旬の野菜をそろえる
旬の野菜をそろえる
おいしさと旬にこだわった青果店を展開。上の写真は生産者から直接仕入れた規格外のトマト。不格好だが品質は問題ない(写真=2点:北山 宏一)

 大型スーパーの台頭ですっかり見かけなくなった街の青果店。最近ではコンビニエンスストアやドラッグストアも青果販売に参入、Amazonフレッシュなどネット通販大手も生鮮品の通販に力を入れ、さらに競争が激化している。経済産業省の商業統計によると1976年に6万6195カ所あった野菜・果実小売業者は2014年には4分の1以下の1万5220カ所まで減少した。

 だが、そんな街の青果店を多店舗展開して成長しているベンチャーがある。東京都品川区にあるアグリゲートだ。

 店の名は「旬八青果店」。JR五反田駅から徒歩5分ほどの場所にある五反田店では、19m²の小さな店内に、野菜や果物が所狭しと並ぶ。一見、昔ながらの「八百屋」の店構えだが、客足は途絶えない。同店の売り上げは1日約20万円。一方、10m²以上20m²未満の青果店の1日の売上高の平均は約5万6000円(商業統計14年)。旬八の“売る力”は段違いだ。都内で運営する他の6店も平均の2倍以上を売り上げる。ビジネスチャンスなしとみられた街の青果店も着眼点を変えれば成長余地がある。

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